「江沢民追悼」を中国政府が激しく警戒する事情 ネット上の何気ないコメントも検閲対象に

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江沢民元国家主席と握手を交わす習近平国家主席(写真:Qilai Shen/The New York Times)

中国共産党の指導者が死去すると、中国政治の舞台では決まって緊張が高まる。江沢民が権力の座に就いた1989年以来の大規模抗議活動が広がった直後というタイミングもあり、江の死はとりわけ緊張をはらんだものになっている。

中国の現最高指導者として厳格な独裁体制を敷く習近平は、11月30日に96歳で死去した江の追悼行事を取り仕切りつつ、強硬な新型コロナ規制に対する大規模な抗議活動にも対応しなければならない状況だ。

抗議活動では時折、中国は政治的自由化の道に回帰せよ、といった大胆な要求も聞かれる。政治的自由化は、江体制下の1990年代には少なくともありえないシナリオではなかったし、公の場で議論することさえ可能なトピックだった。

江に敬意を表しつつも、江が習政治に抗議する声の象徴と化すのをいかにして防いでいくか。コロナ感染の増加と経済の停滞に中国が対処を迫られる中で、習はこうした新たな難題に今後何週間と取り組まなければならなくなる。

よみがえる天安門事件の構図

「江沢民は胡耀邦ほどの人気を誇ったことはけっしてないが、江の死の悼み方によっては国民の間でさらなる怒りが巻き起こる可能性がある」と、トロント大学の政治学者で中国研究を専門とするリネット・オンは指摘する。

胡耀邦は国民に人気のあった改革派の指導者で、1989年の胡の急死は天安門広場における大規模な抗議活動の引き金となった。江の死は「少なくとも、人々が追悼集会を開く正当な理由にはなる」とオンは言う。

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