三井住友海上を悩ませる子会社アムリンの「呪縛」 英当局の罰金処分に透ける稚拙なリスク管理

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経営管理体制の不備を理由に、当局から罰金の支払いを命じられたアムリン。巨額買収後間もなく赤字体質に陥った問題児を、どう立て直すのか。

欧米での事業拡大で後れを取る三井住友海上。海外事業の中核に位置づけるMSアムリンは、慢性的な赤字から抜け出せていない(記者撮影)

損害保険大手、三井住友海上グループの“問題児”が業界をざわつかせている。イギリスの子会社であるMSアムリンが10月20日、過去の経営管理体制の不備を理由に、同国の金融監督当局(PRA)から969.5万ポンド(約16億円)の罰金処分を受けたからだ。

「期待する基準を満たせなかったことの重大さを反映している」。監督当局がそう厳しく指弾した経営管理体制の不備とは、一体何か。

それは2014~2019年の間、アムリンの取締役会や引受業務などの各部門と傘下事業会社において、意思決定の基礎となる過去の契約データといった情報が十分に共有されず、結果としてリスク査定をたびたび見誤り、さらにその責任の所在を曖昧にする体制を延々と続けてきたことにある。

組織改編が失敗し慢性赤字の問題児に

三井住友海上がアムリンを買収したのは2016年。それに先立つ2014年9月、アムリンは旧持ち株会社の中に「戦略ビジネスユニット」を組成しており、同ユニットが傘下にある3つの事業会社(MS AULなど)を横断するかたちで管理・運営する組織への改編を実施している。

アムリンとしてグループガバナンス(統治)の強化を狙ったものの、MS AULなど傘下事業会社の自律性を損ない、リスク管理の甘さが目立つようになるなど組織改編は大コケ。契約時におけるずさんなリスク査定が仇となり、2017年度には約1100億円の巨額赤字を計上するに至っている。

その後もアムリンは、組織体制において実効性のある改善策を打ち出せず、慢性赤字の状態に陥るなど問題児へと転落していった。

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