マニュライフ生命「租税回避」指南に下る厳罰 元幹部社員たちに対する責任追及が焦点に
マニュライフ生命保険による節税効果を過度に強調した営業行為をめぐって、当時主導していた元幹部社員と責任追及に向けた金融庁との攻防戦の幕が開こうとしている。
生命保険を活用した節税指南という不適切な営業行為をめぐって、金融庁がマニュライフ生命保険に対して実施している立ち入り検査が大詰めを迎えている。
監督官庁による立ち入り検査となれば、本来は行政処分が下るか否かに大きな注目が集まるものの、今回はやや様子が異なる。
なぜなら、マニュライフに対する行政処分はもはや必至の情勢とみられているからだ。生保業界の関心は処分の有無をすでに通り越し、旧経営陣など責任追及の範囲がどこまで及ぶかに移っている。
状況を正しく理解するために、まずは検査に至った経緯とその背景から振り返っていこう。
金融庁と国税庁が規制を強化
金融庁がマニュライフへの立ち入り検査に着手したのは、2022年2月のこと。きっかけは2021年6月、金融庁と国税庁が「節税保険」に対する規制を強化したことにあった。
マニュライフをはじめとする一部の生保はそれまで、低解約返戻金型の逓増定期という法人向けの保険商品を使い、「名変(名義変更)プラン」と呼ばれる節税効果を過度に強調するような営業を展開していた。
同商品はおおむね契約から5年が経過すると、契約者が受け取る解約返戻金が大きく跳ね上がる仕組みになっている。その仕組みを利用して、契約者は5年目になる直前に契約の名義を法人から役員など個人に変更し譲渡。そうすると返戻金は税制上個人の一時所得として扱われ、役員報酬などと比べて所得税の負担を大きく軽減できるというからくりだ。
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