金融庁のコロナ対応要請文、「損保だけ」のなぜ 神奈川県の「自主療養制度」めぐる対応で混乱

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自主療養を保険金給付の対象とするかどうか。そんな議論に始まり、金融庁が2月に発出した「ある要請」が業界をざわつかせている。

2月に金融庁が発出した、コロナ感染者の保険金給付に関連する「要請」。その舞台裏を探ると、損保業界の実情が見えてくる(記者撮影)

感染者数が高止まりし、終わりの見えないコロナ禍。そんな中、感染者への保険金支払いをめぐって金融庁が生命保険、損害保険各社に出した要請が、業界をざわつかせている。

金融庁は2月18日、「新型コロナウイルス感染症に関する神奈川県『自主療養届出システム』を活用した自主療養者への対応について(要請)」を発出した。奇妙なのは、要請文が損保業界のみに発出されており、生保業界には「(口頭で)同様の見解を示した」(金融庁資料)となっている点だ。

いったいなぜ、損保と生保でわざわざ要請の仕方を変えたのか。その舞台裏を探ると、金融庁を”軽視”しているとも取れる、損保業界の実情が見えてくる。

「モラルリスク」が悩みの種に

ことの発端は、神奈川県が2022年1月末に導入した「自主療養届出システム」だった。同システムは、重症化リスクが低いとされる若年層を主な対象としており、市販の検査キットでコロナの陽性反応が出た場合、医療機関には出向かず、自主的に自宅で療養することを行政に届け出る仕組みだ。

感染者数の急増によって医療提供体制が逼迫している状況を踏まえた、神奈川県独自の先駆的な取り組みといえる。システムの創設を主導したのが畑中龍太郎・元金融庁長官の息子(神奈川県医療危機対策統括官)ということでも話題に上った。神奈川県によると、3月9日時点で1万2214件の自主療養の届け出があったという。

医療機関の負担軽減に大きな効果があった一方、懸念材料となったのが、自主療養が保険会社の保険金給付の対象になるのかということだった。

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