逆転の発想、普通のクルマを自動運転化する技術 BMWも導入、レベル5コントロールタワーとは

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レベル5コントロールタワー
レベル5コントロールタワー最大の特徴は、非自動運転車を自動で動かせることだ(筆者撮影)

レベル5コントロールタワーの導入メリットについて、マクニカの担当者は、主に「生産工場や倉庫などで車両運搬をするドライバーが不足しているという課題解消と、人件費の削減」などを挙げる。とくに人件費については、同社によれば、「自動車OEMは、完成車のロジスティクス(倉庫)に毎年、数十億円を費やしている」という。車両を生産ラインから中間パーキングロットへ、さらに船舶、列車、トラックで最終目的地であるディーラーまで運ぶためだ。そして、そうした車両の運搬は、現在、主に人が運転して行っているが、それを自動化することで、「大幅な人件費削減を実現し、ひいては生産コストの改善ができる」という。

レベル5コントロールタワーは、リアルタイムで歩行者や車両など、特定位置情報をリアルタイムで取得できる(筆者撮影)

また、当システムは、数多くのセンサーをインフラ側に設置することで、「死角を最小限にできる」こともメリットだ。これは、例えば、車両を自動搬送中に、もし歩行者が物陰などから急にでてきたとしても、システムが事前に検知し、車両を緊急停止させることも可能なためだ。人の運転では認知できず、事故に繫がりやすい死角エリアまでしっかりとフォローすることで、従業員の安全性向上にも繫がるのだという。

将来的な展開

加えて、マクニカの担当者によれば、当システムは、「自動車のOEMだけでなく、将来的には、さまざまな事業者で活用が可能だ」という。例えば、物流倉庫でのフォークリフトの自動運転化。また、レンタカー業者が貸出や返却時に、車両を顧客が待つエリアまで自動運搬することも可能だ。さらに空港やショッピングモールなどの駐車場で、係員が顧客の代わりに入出庫するバレーパーキングなどにも使うことができる。こうした業務は、いずれも人手不足などの課題があり、また、導入すれば人件費の削減もできる。このようにレベル5コントロールタワーは、基本的に公道ではない限定されたエリアで、インフラ側にLiDARを設置するなどの初期投資さえすれば、幅広い事業形態に対応するという。

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