教員採用試験とは?
教員採用試験とは、正式には「教員採用候補者選考試験(検査)」と呼ばれるもので、都道府県(政令指定都市の場合は都市)が設置している公立学校の教員を採用するための試験です。都道府県および政令指定都市の教育委員会によって実施されています。
教員採用試験の合格率・倍率・難易度
十数年前までは、一部地域において倍率が1桁台前半となっていましたが、この数年で全国的にこの低倍率化が広がっています。
単純に受験者数が減っているということもありますが、その一方で熊本市は2022年度実施の採用試験で、受験者数を増やす動きがあります。
全国平均の選考倍率を校種別に見ると、小学校の2倍台から栄養教諭の8倍台までばらつきがあります。倍率は自治体や、中高等学校の場合は教科によっても大きく変わります。
教員不足の状況
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小学校の採用試験の倍率について
公立学校教員採用選考試験「小学校で過去最低の2.5倍」、低倍率のカラクリ
小学校、中学校、高等学校の倍率
以下を参照。小中高、カテゴリーごとに昭和50年度からの採用倍率の推移が掲載されています。
公立と私立
教員就職は私立学校志望の場合が多く、その際は私立中学高等学校協会・連合会などが行う「私学教員適性検査」を受験して、その成績や履歴書を採用活動に活用する、また教職員に強い人材エージェントや派遣会社、転職サイトなどに登録をしてマッチングによる採用を利用するなどの方法があります。また、派遣会社やハローワークを利用して教員・講師として勤務することも可能です。
公立学校教員志望の場合、適性検査はなく採用試験のみでの採用判断となり、転職エージェントやハローワークなどでの募集もありません。
教員採用試験を受ける条件
自治体によって受験可能な年齢に上限を設けている場合があります。
その制限は校種や教科によって異なる場合もあるため必ず確認しましょう。年齢制限を緩和したり廃止したりする自治体も増えてきています。
また、18歳未満や禁錮以上の刑に処せられた者などといった、欠格事項に関する条件もあります。
さらには、社会人特別選考枠などといった特別枠もありますので、自分のスキルや条件を考慮して受験する必要があります。
学生が受けるにはいつから勉強をすればいいのか
東京都採用試験を現役合格した筆者は受験日の約1年前に当たる夏の終わりから徐々に準備を始めていきました。大学で言うと3年後期の始まりの時期です。この頃に1次試験、2次試験の結果や試験内容に関する情報が出回ってくるため、ほかにも同時期に準備を始める人は多いでしょう。
採用試験対策の参考書に関しては、専門科目・一般教養を網羅するもの、さらにバッグからの出し入れが容易な「ポケットサイズ」の参考書も使いながら、試験対策を進めていきました。
1次試験は7月上旬から7月下旬にかけて行われます。合否発表後、二次試験が8月中旬から下旬にかけて行われます。合否発表はこの2回のスケジュールから逆算して、個人ごとに受験計画を立てて行くのがよいでしょう。また、例えば社会人は1次試験が免除されるなど受験条件によっても準備が異なります。
学生だけでなく社会人からも受けられるのか
現在は社会人枠が拡大し、ここ数年では「特別枠」もあります。東京都では、さらに理科・英語などの枠が拡大し、受験者の年齢などの条件に沿って異なります。例えば、経験者枠(小学校教諭免許保持、東京都正規13年、長野県講師3年)の筆者が長野県で受験するのであれば、以下のようになります。
*選考区分と選考内容
(2)社会人を対象とした選考
①教職(常勤・非常勤・講師を含む)経験者を対象とした選考
1次選考は、長野県内小・中学校の学級担任経験がある講師で小学校教諭受験者の場合は一次選考が免除になります(令和5年度)
(3)特別選考
⑤正規教員経験者を対象とした選考
1次選考においては、筆記試験、小論文、集団面接が免除となり、2次選考においては適性検査が免除になります。(令和5年度)
教員採用試験の日程
教員採用試験 受かる人 受からない人
一般教養・教職教養が求められる1次試験や面接や実技などの2次試験を通して、総合的に「受かる人」「受からない人」が区別されるわけですが、低倍率となっている昨今の採用試験においては、受かる人の割合が増えているのは確かです。
ただ、受かった後に教職教養、とくに教科・領域に関する専門知識・スキルやICTスキルが乏しかったりすると、現場に入ってから苦労することが予想されます。受かったら終わりではなく、学び続ける姿勢を持つことが大切です。
試験内容
教員採用試験は、一般的に「筆記試験」「面接試験」「実技試験」で構成されています。
筆記試験には、大きく分けて「一般教養」「教職教養」「専門教養」「小論文」の4つがあります。
受験者の人格や教育に対する考えなどをチェックします。自治体によっては2次試験で行われたり、複数回の面接試験を実施したりするところもあります。面接官は現職の校長、教頭や教育委員会の担当者ほか、民間企業の人事担当や民間人が起用されるケースもあります。
面接官の前で実技を披露する試験です。とくに小学校教員や中学・高校教員の美術・保健体育・音楽・家庭科・英語などの教科を受験する場合に、実技試験が行われます。
面接
教員採用試験は決してカジュアルな面接ではないので、一般的な入社試験などで着用するようなリクルートスーツで受験をしましょう。また、2次試験は真夏の時期です。エアコンの利いた室内での面接ではありますが、汗拭き用のタオル、また面接直前にインナーシャツを着替えるのも有効でしょう。
また、運動の実技試験においては、運動用シューズや運動着で行いますが、くれぐれも派手にならないように気をつけましょう。
まとめ
この数年で倍率が下がってはいますが、求められる知識・技能レベルに大きな変化はありません。ここでの知識・技能はあくまでも現場で必要とされる最低限度の知識・技能ですので、受験時のモチベーションとしては「現場に立つための通過地点」というイメージを持つことをお勧めします。現場に立つと、教科の専門性、校務に対する仕事ビジネススキルがさらに求められますので、受験後は教育IT系の資格取得をするのもおすすめです。
FREERIDE TEACHER (一社)エンターキー教育ICTコンサルタント
元東京都公立小学校主幹教諭。都内&小笠原諸島父島での公立小学校勤務から長野県白馬村へ移住。長野県内で公立小学校講師と白馬エリアを中心とした教育ICTのアドバイザーも(小中学校・自治体教育委員会など)務める。GEG Hakuba Valley 共同リーダー。