自らも発言し、議論に飛び込んで探究学習を深める「ジェネレーター」とは 創造的で軽やかな教員が子どもの思考力を育む
探究学習のテーマも、まじめな教員ほど「子どもたちが関心を持つかどうか」に重点を置いて選ぼうとするだろう。だが井庭氏が勧めるのは、教員自身が探究したいと思えるテーマを持って、日々探究・研究することだ。そのテーマに関連するプロジェクトに子どもたちが参加できるようにするのもよい。高校の教員だった自分の父を振り返りながら、井庭氏はこう語る。
「思えば父はいつも授業と部活動で目いっぱいで、自身の研究テーマを持つような時間と気持ちの余裕はありませんでした。教員の仕事を減らし、時間的余裕をどうつくるかが、現在の学校運営・経営の最大の課題でしょう。大学教員として私も時間を取るのに苦労しますが、それでも研究と教育の両面を持ててよかったなと感じています。教えることと自分のテーマを研究することが相互にいい影響を与えてくれるし、自分なりのテーマを持ち続けることは、教員をより魅力的にするでしょう。それは必ずしも学術的なことでなくてもいいと思うのです」
ジェネレーターが楽しんで生き生きしていることが、周りの子どもたちを盛り上げる効果を生む。そうした教員が増えれば、学校は「進学のための場」ではなく、もっと創造的で面白い場所になるだろうと井庭氏は期待している。
「ジェネレーターになるには、何か新たなスキルを身に付けることが必要なのではありません。足し算ではなく、むしろ引き算です。『先生らしくあろう』という鎧(よろい)を脱いで、教員も一人の人間として自分の感性や発想を持ち込む。その場に『参加』し、共に苦労し、共に面白さや喜びを味わうように関わっていけるといいですね」
(文:鈴木絢子、写真提供:井庭 崇氏)
東洋経済education × ICT編集部
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