無知な人々の政治参加は「民主主義の欠陥」と批判 民主主義、主体的キャリア、空爆論など書評8冊

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ブックレビュー『今週の8冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『アゲインスト・デモクラシー(上・下)』

・『拝啓 人事部長殿』

・『クリティーク社会学 空爆論 メディアと戦争』

・『越境する出雲学 浮かび上がるもうひとつの日本』

[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]

・『噴火と寒冷化の災害史』

・『人生はそれでも続く』

・『「北海道企業」はなぜ強いのか』

・『お酒はこれからどうなるか』

『アゲインスト・ デモクラシー』ジェイソン・ブレナン 著
『アゲインスト・デモクラシー(上・下)』ジェイソン・ブレナン 著/井上 彰、小林卓人、辻 悠佑、福島 弦、福原正人、福家佑亮 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・関西大学客員教授 会田弘継

米共和党支持者の7割が前回大統領選挙でのトランプ前大統領の敗北を認めていないという。混乱が続く米国で、中間選挙投票日が目前に迫る。タイムリーな翻訳出版だ。民主主義の根本的な欠陥を批判し、思い切った代替案を示す政治学の書である。

無知な人々の政治参加、民主主義の根本的な欠陥を批判

現行の民主主義制度は、無知で非合理な一般投票者たちに政治的権力を行使させてしまっている。著者は率直にそう論じる。批判の的は民主主義の核である普通選挙権だ。実際、米国では冒頭に掲げた状況が生まれた。

本書が引用する全米選挙調査によれば、投票者の75%はろくに政治知識を持っていないか、なにも知らないか、体系的に誤った知識を有しているか、だという。投票棄権者となれば、もっとひどい。

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