学歴社会・中国「素質教育」重視へ、「有名大学に入れなければ人生終わり」に変化 勉強一辺倒から様変わり、海外留学も増加

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中島 恵(なかじま・けい)
1967年、山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経てフリージャーナリスト。中国、香港など主に東アジアの社会事情、ビジネス事情についてネットや書籍などに執筆している。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』『なぜ中国人は財布を持たないのか』『日本の「中国人」社会』(いずれも日経BPマーケティング)、『「爆買い」後、彼らはどこに向かうのか』(プレジデント社)、『中国人のお金の使い道』(PHP研究所)、『中国人は見ている。』『いま中国人は中国をこう見る』(ともに日本経済新聞出版)などがある
(写真:中島氏提供)

このような素質教育の影響で、「勉強一辺倒で、1日10時間以上、机にかじりつく」といったイメージが強い中国の学生たちの学習環境はかなり様変わりし、本人たちの意識も変化している。

そうした面で、中国の教育界は進歩しており、いいことずくめのような気がするが、コロナ禍に加え、政府の締め付けにより大手ハイテク企業などが雇用を縮小していることなどの影響で、大卒者の就職難はかつてないほど高まっている。国家統計局のデータによると、今年7月の都市部の失業率は5.4%。16~24歳の若年層の失業率は19%を超えており、中国では「大学卒業、イコール失業」という言葉も飛び交った。

ゼロコロナ政策の影響もあるが、苦労して大学を卒業しても、マッチしたホワイトカラーの職業が圧倒的に不足していることなど、構造的な問題が大きい。昨今は新卒者の初任給とブルーカラーの給料に大差がないため、大卒後、稼ぎのいい現場の仕事に就く人や、親に資金を出してもらい、独立して事業を始める人、インフルエンサーとなる人などもいる。

不景気を反映して、公務員の人気は非常に高いが、競争率も高く、大学受験より就職のほうが難しいという声も聞く。とりあえず大学院へ行って時間稼ぎをする人も多く、修士課程への進学率も高まっている。このように、中国の教育界は著しく変化しているが、学生たちの就職先など「出口」はまだ整っておらず、問題は山積しているといえる。

(注記のない写真:A.K.I / PIXTA)

執筆:ジャーナリスト 中島 恵
東洋経済education × ICT編集部

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