逆風の動画配信市場でU-NEXTは生き残れるか シェア首位のNetflixは初の会員数減に転じた

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USEN-NEXT HOLDINGSの宇野社長
「サブスク型の動画配信市場はやや踊り場に来ている」と語るUSEN-NEXT HOLDINGSの宇野社長(撮影:尾形文繁)
動画配信サービス市場で異変が起きている。アメリカのNetflix(ネットフリックス)が2022年4月にサービス開始以来初の会員数減少という衝撃的な内容を発表すると、株価は急落した。
影響は日本企業にも波及した。日本で動画配信サービスU-NEXTを運営するUSEN-NEXT HOLDINGSの株価は、巣ごもり特需が一巡した2021年11月頃から下落傾向にあったものの、ネットフリックスの発表を受けて連日下落する場面があった。
U-NEXTは現在、国内動画配信サービス市場ではネットフリックス、アマゾンプライムに続くシェア3位で、日本企業ではトップだ。
2010年にUSENからU-NEXTを分離した後、2017年に再統合して生まれたUSEN-NEXT HOLDINGS。動画配信市場で逆風が吹く中でどのような手を打つのか、また、グループ全体を今後どのように運営していくのか、宇野康秀社長に話を聞いた。


――動画配信のU-NEXTが堅調に伸びている一方で、ネットフリックスの会員数減少など、市場環境としては厳しいように見えます。

確かに、サブスク型の動画配信市場全体について言えば、やや踊り場に来ている感じは見られる。ただ、コロナの影響を大きく受けた市場ということもあり、揺り戻しの調整時期だと考えられる。そういう意味では、まだまだ全体で成長するだろう。

また、動画配信サービスの中でも、U-NEXTとネットフリックスでは考え方が違う。ネットフリックスはオリジナルコンテンツを作ることでユーザーを集めている。これはWOWOWのような衛星放送がやっていたサービスの考え方に近い。現在やや踊り場になっている理由としては、新しいオリジナルコンテンツの数が少なくなっているからだと分析している。

一方、U-NEXTはレンタルビデオの置き換えという発想でやっている。オリジナルコンテンツに頼らず、デジタル化が可能なあらゆるコンテンツをしっかりそろえていく考え方だ。この場合、特定のコンテンツが無いから解約するということにはならない。実際に、ネットフリックスの会員数減少の報道以降も(U-NEXTの会員数は)きちんと伸び続けている。

3番手は国内代表として誇れる

――国内の定額制動画配信サービス市場で3番手(日本企業ではトップ)ですがどのように認識していますか。

当然ながら上位2社は非常に強いグローバル企業なので、その中で3番手につけているのは、国内代表として誇れる立ち位置だと思う。アマゾンの場合はショッピングサービスの会員も含まれている。その意味で、国内企業が3位の位置につけているのは非常によい状態だろう。

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