中国ペロシ米下院議長の訪台後に軍事演習開始 台湾周辺6区域で実弾演習は海運・航空へ影響?
中国人民解放軍は4日、台湾周辺での軍事演習を開始し、台湾沖にミサイル11発を発射した。演習はペロシ米下院議長の訪台への対応。台湾当局は航空と海運に重大な影響があるとはみていない。
中国は現地時間午後1時56分(日本時間同2時56分)から16時の間に台湾の南北と東の海域にミサイル「東風」を試射した。台湾国防部(国防省)が声明で発表した。ミサイルは陸から発射され海に着弾したという。人民解放軍東部戦区は演習を終了したとし、当該海・空域の制限を解除したと明らかにした。
中国軍が発射した弾道ミサイル5発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと、共同通信が森健良外務事務次官の発言を基に報じた。岸信夫防衛相は、「わが国の安全保障、国民の安全に関わる重大な問題だ。強く非難する」と述べた。
中国のミサイル5発が日本のEEZ内に落下-共同
4日正午に始まった演習は72時間が予定されており、軍の発表からは演習が全て終了したのかどうかは明らかでない。中国外務省の華春瑩報道官は4日の定例記者会見で、全ての演習が終了したかどうかについての情報は得ていないとして当初の4-7日の予定に言及した。
台湾の大陸委員会副主任委員、邱垂正氏は台北での記者会見で、台湾は中国の軍事演習を強く非難すると述べるとともに、対抗措置を打ち出す可能性があること明らかにした。
邱氏は対抗策が何かは具体的には触れなかったが、中国の演習は台湾海峡の現状を損ねるものだと指摘。台湾の市民や企業に中国にいることのリスクを認識するよう警告し、中国は台湾を一段と孤立化させようと図っていると語った。
台湾の大陸委員会、中国の軍事演習を強く非難-対抗措置も
中国は今週、演習について発表した後に台湾周辺の「危険空域」を避けるよう航空各社に警告。ペロシ議長の訪台を受けてミサイル試射や実弾訓練を含む大規模な演習を実施すると発表していた。
台湾国防部は先に、演習に対応し強い警戒を維持すると表明。演習については地域の安定を揺るがす目的だと非難している。台湾の王国材交通部長(交通相)によると、入出境する航空便は72時間の演習が7日に終了するまで日本とフィリピンを経由した代替ルートを利用する。
船舶は立ち入り禁止区域を回避できる見通しという。王氏は3日遅くの記者会見で「海運は航空交通とは異なり決まったルートがない。従って、過去には演習が行われる地域を避けることで対応してきた」と説明した。
ブルームバーグがまとめたデータによれば、4日の時点で一部の船舶は台湾海峡での航行を続けており、演習区域にいる船もある。正午の時点で演習区域内にある船舶は約15隻。3日の同時刻には45隻だった。台湾海峡の最も中国寄りの区域にいる船舶はない。台湾の東側に航路を変更する船もあり、船舶ブローカーによれば3日ほどの遅延につながるが、来週に緊張が緩和すれば長期的な影響は最小限にとどまる可能性がある。
原題:Taiwan’s Mainland Affairs Council Condemns China’s Drills、China Test-Fires 11 Missiles in Military Drills Near Taiwan (2)、China Drills Force Ships to Sail Around Taiwan Danger Zones (1)(抜粋)
(第3段落に情報を追加して更新します)
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著者:Cindy Wang
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