三菱化学の鹿島事業所は短期間での復旧至難、旭硝子など誘導品メーカーへの影響不可避か【震災関連速報】

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三菱化学の鹿島事業所は短期間での復旧至難、旭硝子など誘導品メーカーへの影響不可避か【震災関連速報】

三菱ケミカルホールディングスの中核企業、三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)は11日に発生した東日本巨大地震の影響を受けて、操業停止の状態が続いている。

同事業所は地震直後にプラントが自動停止。保安上のトラブルはなく、火災も発生しなかった。だが、周辺の桟橋などのインフラに大きな影響が出ているもようで、操業再開のメドが立っていない。

三菱化学は被害の把握に全力を挙げているが、短期間での復旧は難しいもよう。詳細を見積もるのは難しいが、少なくともここ1週間程度でプラントの稼働が再開する可能性は低そうだ。

鹿島事業所は、鹿島コンビナートの中核。ナフサ(粗製ガソリン)を原料に石油化学製品の基礎原料となるエチレンやプロピレン、B−B留分などを生産している。これらの基礎原料が、コンビナート内の化成品メーカーに渡り、合成樹脂や合成ゴム、合成繊維原料、界面活性剤などの石油化学誘導品となる。

鹿島コンビナートには、旭硝子、JSR、信越化学工業、カネカ、花王、クラレ、三井化学など20数社の誘導品メーカーが連なっており、おおもととなる三菱化学の鹿島事業所が石化原料を供給できない状態が続けば、これらのメーカーの業績にも影響を与える可能性がある。

三菱ケミカル自身も鹿島事業所の操業停止は、業績面にネガティブな影響を与える可能性が高い。ただ、その詳細などについての算定は現段階では難しく、「東洋経済オンライン」は下表の予想を据え置く。今後、詳細な情報を得ながら、順次予想を見直す可能性がある。

なお、三菱ケミカルホールディングスは今回の東日本巨大地震を受けて、義援金1億円の拠出を決めた。

(武政 秀明 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2010.03  2,515,079 66,342 58,990 12,833
連本2011.03予 3,190,000 225,000 222,000 88,000
連本2012.03予 3,330,000 240,000 237,000 116,000
連中2010.09  1,564,658 111,393 106,388 43,976
連中2011.09予 1,630,000 115,000 110,000 52,500
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2010.03  9.3 8 
連本2011.03予 59.7 10 
連本2012.03予 78.7 10-12 
連中2010.09  32.0 5 
連中2011.09予 35.6 5-6 
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