「家計の値上げ許容度が高まっている」という日本銀行の黒田東彦総裁の発言は、世論の批判を浴びて撤回を余儀なくされた。確かに、総裁が講演で挙げた「値上げ後も同じ店で購入を続ける消費者が増えた」という調査結果だけでは説得力十分とはいえないだろう。だが、足元では企業の値上げが比較的順調に進んでいることを示唆するデータは少なくない。
物価上昇3つのポイント
第1に、物価上昇のスピードは予想以上に速い。日銀の異次元緩和開始から10年目の今年4月、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は日銀が掲げる2%目標を初めて超えたが、このタイミングは専門家の予想より早かった。
ESPフォーキャスト調査で民間調査機関の予測の平均を見ると、4〜6月の消費者物価指数(前年比)は4月調査の1.8%増から7月調査の2.1%増へと上昇した。この間に原油価格の追加的上昇はなく、円安の影響が表面化するのはもっと先だ。予測の上方修正は想定以上に物価が上がったことの反映と理解すべきである。
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