バイデン大統領「4回接種」でもコロナ感染のなぜ 既存ワクチンの感染予防効果が急低下する
ジョー・バイデン大統領の新型コロナウイルス感染が如実に示しているのは、ワクチンは確かに強力ではあるが、感染予防効果は科学者が期待したレベルには程遠いということだ。
バイデン氏はファイザー/ビオンテック製のワクチンを複数回接種しており、直近では3月30日に2回目のブースター(追加)接種を受けた。研究では、重症化に対してはこうした接種が強力な予防手段となることがわかっており、実際、ホワイトハウスによると、バイデン氏は21日に検査で陽性が確認された後も軽い症状で済んでいる。
とはいえ、とくに新型コロナの最近の変異株については、追加接種を行ったとしても感染予防効果はほとんど期待できない。ワクチンの感染予防効果は急速に低下することが、いくつもの研究によって示されている。バイデン氏の場合は、4カ月近く前に受けた追加接種の感染予防効果は大部分失われている可能性が高い。
ウイルスが身に付けた「免疫突破力」
パンデミック初期には、ワクチンには重症化だけでなく、感染の圧倒的大多数を予防する十分な効果があると専門家は考えていた。デルタ株を含む従来の変異株が世界中で流行したときも、専門家の考えは変わらなかった。
ところが、オミクロン株の登場でそうした期待はひっくり返った。感染やワクチンによって免疫を獲得する人の数が増える中、ウイルスは免疫を回避できるように進化していった。今年の冬に流行したオミクロン株の亜種BA.1は、わずか数週間前にブースター接種を受けた人でさえ感染するほど免疫回避能力が高かった。