今年の株主総会は、多数の株主提案が提案され、まさに「株主提案元年」の様相を呈している。アクティビスト(物言う株主)によるものがほとんどだが、そうではない株主グループから提案を受けた企業もある。
作業現場などで使用されるキャブタイヤケーブル電線の大手で、プラスチック成形品を得意とする三ッ星が謎の株主グループから狙われている。この株主グループは、これまでも小規模な上場企業に狙いを定めて経営権を奪取しており、三ッ星は警戒感を強めている。
事の発端は2月末。三ッ星の株式を保有する「アダージキャピタル有限責任事業組合」から、突然、株主提案を受けたことだった。「社長を含む取締役3人の解任」「新たな取締役3人の選任」、そして「監査等委員である取締役1人の選任」という3点を求めて、臨時株主総会を開催するように迫った。
その理由についてアダージキャピタルは、同業他社と比べて売上高や利益が低迷していること、また14億円余りの現預金を保有していながら、投資など事業収益につなげられていないのは社長を含む取締役に責任がある、としている。
確かに高付加価値化を目指して商品ラインナップを絞り込んだほか、先行投資を行ったことで営業利益は減少傾向にあった。しかし、前2022年3月期は高付加価値商品の販売増によって増益に転じ、今2023年3月期も連続増益を予想するなど、結果も出始めていたときだっただけに、三ッ星側は「なぜ、今?」と首をひねる。
小型企業に狙いを絞る
株主提案をしたアダージキャピタルとは何者なのか。
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