老舗電線メーカー・三ツ星で予定されていた買収防衛策について、最高裁が差し止めを決定した。過半の株主の賛成を得た買収防衛策が差し止められるのは、今回が初めて。老舗メーカーの防衛策はなぜ封じられたのか。
買収防衛策の発動を最高裁判所が差し止めた。7月28日のことだ。株主の過半が賛成した買収防衛策の発動を、最高裁が差し止めるのは過去に例がない。今回が初めてだ。
大阪の老舗電線メーカー・三ッ星は翌29日に防衛策の発動を予定していたが、最高裁の決定を受けて発動を中止した。一方、発動の差し止めを求めてきた三ッ星の大株主、アダージキャピタル有限責任事業組合は同29日に臨時株主総会の開催を請求した。議案は三ッ星の競(きそい)良一社長ら3人の取締役解任などだ。
ごくありふれた買収防衛策だったが…
投資ファンドのアダージが競社長ら3人の解任を求めて臨時総会の開催を請求するのは、実は今回が初めてではない。今年2月22日にも、アダージは臨時総会の開催を三ッ星に要求。三ッ星は臨時総会を5月12日に開催している。
アダージは「(三ッ星は)上場同業他社と比べて売上高が15社中13位、営業利益が同14位と低迷している」「漫然と従来事業のオペレーションを続け、資本効率を意識した果断な事業投資をしていない」として委任状を集めた。解任決議は否決されたが、賛成46・2%、反対53・7%という僅差だった。
6月に定時株主総会が迫る中、首の皮一枚で延命した格好の競社長らは反撃に出る。それが今回の買収防衛策の導入だった。
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