アメリカ利上げ、景気悪化は想定より厳しくなる みずほリサーチ&テクノロジーズ小野亮氏が解説

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市場はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによる景気後退を覚悟し始めた。だが、みずほリサーチ&テクノロジーズの小野亮プリンシパルは、市場が想定しているよりも、引き締めも景気後退ももっと厳しいものになるだろうと予想する。

アメリカの景気後退が懸念されているが、FRBのパウエル議長は、景気後退よりも高インフレ定着のリスクをもっと警戒している(写真:Bloomberg)
市場はアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)による利上げで景気減速を織り込んでいる。一方、ソフトランディングへの期待や、景気減速後の利下げ予想などもあって、株価はいったんの調整後、一進一退の動きを続けている。
しかし、みずほリサーチ&テクノロジーズの小野亮プリンシパルは、引き締めは想定よりも厳しいものにならざるをえず、景気もより大きな犠牲を払うものになる可能性が高いと予想している。

今の想定よりも大幅な引き締めが必要になる

――アメリカFRBは7月も0.75%ポイントの利上げをすると見られており、景気指標にも減速が見えてきました。しかし、小野さんはもっと厳しい引き締めになると予想されているとのことですね。

株価は6月のFOMC(連邦公開市場委員会)のあと調整しているし、ニューヨーク連邦銀行は先行きの実質GDP(国内総生産)成長率がマイナスになる可能性が高いとし、アトランタ連邦銀行のGDPNowではすでに今年の4~6月期は前期比年率マイナス2%だったのではないかという推計になっている。FOMCも失業率は現状の3.5~3.6%から4.1%へと2024年にかけて上昇していくという見方だ。

ただ、今のところ景気後退が起きても深刻なものにはならないという予想が多いのではないか。また、市場関係者は景気後退ともなればまたFRBは利下げしてくれると思っているようだが、これは誤解かもしれない。

まず利上げが今の想定で済むかどうかが疑問で、もっと大幅な利上げになれば、浅い景気後退で済むかどうかも疑問だ。

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