資格試験に落ち続ける人の「残念すぎる勉強方法」 最初から「質」を優先してもあまり意味がない
従って、最初に取れる選択肢は一つだけです。質より量を優先し、まず試験範囲を一周することを第一の目標にすべきです。さらに言えば、読んでもよくわからないところはそのままにし、さっさと読み飛ばしてしまうことが効率的でしょう。
量を重視するといっても、質を軽視するわけではありません。もちろん、わからない部分が多ければ合格は難しいので、試験本番までに穴を埋めるように、自信のないところを一つ一つつぶしていく必要があります。何度も同じ論点を勉強していると、当然ですが理解が深まります。同じようにテキストに目を通しても、用語の意味や、関連する論点が自然に思い浮かぶようになり、書いてあることが自然に頭に入るようになっていきます。
つまり、量を優先するのは、質を高めることを軽視するのではなく、後回しにするということです。
同じところを10回も20回も読んでみる
肉体労働やスポーツの練習で、ときに「体で覚えろ」と指導されることがあります。自然に理解が深まっていくのは、それに近い感覚です。同じところを10回も20回も読んでいれば、次第に「いい加減もう飽きた」という気分になってきます。そうすると、一度目はさっぱりわからなかった内容でも、するすると頭に入るようになるはずです。
私が公認会計士試験の勉強を始めてから、合格まで約1年の時間がありました。7月上旬に司法書士試験があり、8月から勉強を始め、論文式試験を終えたのは翌年の8月中旬です。
最初は知らない単語が多く、テキストを読んでも何度も引っかかりました。わからないところを読み飛ばしても、一周するのに20日ほどかかっていたように思います。二回目は一週目より読みやすくなりました。次第にわからないところ、引っかかるところが減っていき、何回も繰り返すうちに読むスピードが上がります。最後は10日ほどで試験範囲を一周できるようになりました。正確に数えてはいませんが、勉強開始から試験終了までに、20回以上同じテキストを読み、同じ問題を解いたと思います。
さすがに、短い間にそれだけ同じことを繰り返すと、ほとんどの論点はわかるようになります。最初の二、三周は概念をつかむことに集中し、回数をこなすごとに、各論点の細部をつめていくイメージです。資格試験の勉強をするにあたって、前提知識がなければどうしても理解に時間がかかります。立ち止まらず、まず量をこなすことが効率化につながります。最初はどうしてもつらいのですが、ノルマを毎日こなしているうちにわからない部分が少なくなり、どんどん楽になります。歯を食いしばって、まずは試験範囲を一周してみましょう。