10代の心をがっちり掴む、教育系YouTuber「でんがん」の一生使える勉強法 「失敗しても何とかなる」試行錯誤を勧める訳
僕も学生の頃、「奥さんに言われてダイエットしてる」とか「筋トレ始めたから大会に出ようと思って」とか、人間味のある話を先生から聞きたかったんです。そういうコミュニケーションがあると、相手の話を聞こうという気になるでしょう? 芸人さんがまじめな話をしているとそのギャップにひかれるので、僕もそうしたいんです。
僕はもう大人なので「受験に落ちても死なない」とわかっているし、そう伝えたいけど、確実には伝わりません。なぜなら、彼らは今「受験がすべて」という世界を生きているから。だから、僕の言いたいことを100%言うのではなく、受験生がどんな情報を欲しがっているのかを考えます。
そして、まじめなでんがんだけでなく、「はなおでんがん」の僕、人間としての僕、いろんな僕を見せる。すると、ふざけたでんがんを知っている人は、僕がまじめな話をしたときに「聞いてみようかな」となる。YouTube×教育は、ふざける僕や人間味も出しながら、教育もするという両側面を出せるのが強みだし、意義だと思っています。
──でんがんさんが教育に力を入れるのはなぜですか?
僕がヤバい子どもだったことが大きいですね。ヤバい子だった僕が一丁前に本を書いているのは、僕に変化があったから。その変化のポイントは成長のポイントです。僕で言うと、父が与えてくれた「受験の意識の変化」ですね。これは僕一人ではできませんでした。
そういう、自分一人では気づかない変化のポイントを与えてあげられるようになりたいんです。「でんがんみたいになりたいから勉強頑張ろう」でもいいし、変化を与えることはできるはず。数学や物理をやらなくても生きていけるけど、その勉強を通じて失敗や変化を子どもに与えられたらいいなと。それが教育の本質であり基盤だと思うし、学問を教えるのはその上の段階だと思っています。
数学って、いろんなところがやっている「苦手な科目ランキング」でずっと1位なんです。その気持ちもわかるんですけどね。そこで、「数学なんてむち打ちの刑くらい嫌や」と思っている人が「こういうことやったんか!」と、簡単に理解できるようにしたいなと。具体的には、僕のサイトで勉強して、確認テストまでできるようにしたい。高校生だけでなく、大人が見てもわかりやすいようなものを作りたいんです。
僕も、もうすぐ30歳。YouTuberとしては若くないし、若さで数字が取れる時代は終わりました。中高生の頃、年齢の近い教育実習生のほうが話しやすかったのと同じで、年齢が離れるほど難しくなっていきます。具体的なバリューを提示しないと生き残れないし、教育業界でそういうバリューを提示しながら、「いつまでも愉快なおじさん」になっておこうと思ってます。そうして、「あの人面白いよね。あの人のまじめな話は聞いておこう」という人になりたい。そして、40歳になっても、「チャレンジするところも、できひんところもあえて見せる先生」でありたいなと思っています。
(文:吉田渓、注記のない写真:でんがん氏提供)
東洋経済education × ICT編集部
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