「企業の方がAIについて教えてほしいということで、3年間で2000社、5000人くらいの企業の方々にお会いすることになりました。もしかしたら日本の20代の中で、私がいちばん多く企業の役員層に会った人間だといえるかもしれません(笑)。そうやって最初はAIエンジニアリング講座というトレーニングプログラムを提供することからスタートしました。しかし、そこで企業がいくらAIエンジニアを育てても、そうした人材を活用する土台が企業にないことに気づき、新たにDXの土台づくりを行うためのコンサルティング、そして、その後のシステムの実装まで、事業を広げていくことになりました。私たちはAIをただ研究するのではなく、AIを活用するためにどうすればいいのかをつねに考えていたので、そこが時代のニーズと合ったのだと思います」
DX特化型スタートアップスタジオ
そう語る安田さんは勢いに乗って、今年2月からDX特化型のスタートアップスタジオのBLUEPRINT(21年7月に創業)のCOO(最高執行責任者)に就任した。こちらはSTANDARDの事業を進めていく中で、業界に散在するさまざまな課題を目にしたことをきっかけに、「Vertical SaaS(ヴァーティカル・サーズ)」といわれる業界特有の課題を解決するクラウド型DXサービスを企図することになったものだ。
BLUEPRINTは、映画スタジオが優れた映画を次々に生み出すように、業界を変えていくスタートアップ企業に自分たちで出資し、子会社として連続して立ち上げ、事業拡大後に株式売却やIPOによって経営を移管し収益を得るという、いわゆるインキュベーション事業や投資ファンドのような性質を持った企業として誕生した。
早速今年3月には、建材商品の一括検索サービス「建材サーチ」を提供する子会社Archi Villageを設立。こちらは、今までバラバラに存在し、膨大な時間をとられていた建材情報検索から建材メーカーの営業パーソンたちを解放するサービスで、将来的には商品検索から見積もり、受発注、支払いなどが一気通貫で行える建材分野の総合ECプラットフォームの構築を目指すという。

同時に安田さんたちはBLUEPRINTの設立をきっかけに、前述のSTANDARDを子会社として組み入れることで同社を持ち株会社化。今後はBLUEPRINTを中心とした事業体制として、安田さん自身も新たにBLUEPRINTグループCOOとして、新ビジネスに次々と取り組んでいくそうだ。
こうして26歳の若さで、矢継ぎ早にビジネスを展開している安田さんだが、彼自身はいったいどのような教育を受けてきたのだろうか。安田さんは関西の名門、灘校の出身。そこでの特異な教育環境が大きく影響しているという。