立命館「社会起業家育成」で自腹10億円ファンドも 「小中高大院」5万人にSDGsや起業学ぶ機会提供

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大学発スタートアップ企業が次々と誕生する中、関西の名門校である立命館が社会起業家育成への動きを活発化させている。2019年から独自の社会起業家支援プラットフォーム「RIMIX(Ritsumeikan Impact-Makers Inter X Platform、リミックス)」をスタート。小学校から大学院まで学園を挙げて、社会課題を積極的に解決する人材の養成を目指す。今年6月にはその司令塔となる「起業・事業化推進室」も設置した。一連の取り組みの狙いや展望について立命館副総長・立命館大学副学長の徳田昭雄氏と、RIMIXから生まれたスタートアップ企業・konoki代表取締役社長の内山浩輝氏に話を聞いた。

小学校から大学院まで全学で取り組む理由とは?

政府は今、日本経済の持続的な発展のため、大学に蓄積された研究成果を掘り起こして「イノベーションの担い手」となる大学発スタートアップ企業の創出を積極的に後押ししている。全国の大学でもスタートアップ企業を生み出すべくさまざまな支援策を講じているが、中でもSDGs(持続可能な開発目標)に関する特徴的な取り組みとして注目されるのが、立命館の社会起業家支援プラットフォーム「RIMIX」だ。

「オール立命館でRIMIXを通じ、社会起業家を育成する“立命館モデル”を構築していきたい」と、立命館副総長・立命館大学副学長を務める徳田昭雄氏は意気込む。

徳田昭雄(とくだ・あきお)
立命館副総長、立命館大学副学長・経営学部教授。専門分野は経営学、イノベーション論、標準化研究

「実は本学ではスタートアップ支援の歴史は長く、例えば、『立命館大学学生ベンチャーコンテスト』については今年で18年目を迎えます。そうしたアントレプレナーを育成するカルチャーが学内にすでにあったことも大きいですし、近年は学園内でSDGsへの関心が高まっており、社会課題の解決に資する起業家を育てようとRIMIXをスタートしました」

RIMIXの大きな特徴は3つある。まず1つ目が、大学だけでなく学園全体で社会起業家の育成を目指していることだ。学園内にはもともとSDGsや起業などに関するさまざまなプログラムがあるが、それらをプラットフォームとして「見える化」し、小学校から大学院まで約5万人の児童・生徒・学生に挑戦の機会を提供している。これにより、彼らの社会課題に対する問題意識を深め、起業までをシームレスに支援していく。

「うちの学園はすでに小中高とPBL(課題解決型学習)をやっていることもあり、SDGsにひも付けて社会課題の解決をしたいという子たちがたくさんいます。とくに高校生や女生徒の関心が高い。そういった層がRIMIXに応募して起業家マインドを養い、活動が広がっていくことでソーシャルインパクトが発揮されていくと考えています」

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RIMIXの挑戦支援のプログラム。学園で学ぶ全員に機会を提供

2つ目が、企業との連携だ。日本を代表するベンチャーキャピタルであるジャフコグループをはじめ、戦後ベンチャーの旗手であるソニー、長年にわたり社会起業家支援に取り組むコモンズ投信、国内最大級のクラウドファンディングを手がけるREADYFOR(レディーフォー)などが勢ぞろい。各社のノウハウや知見を協働的に生かして実践プログラムを運営するとともに、社会起業家のコミュニティーを醸成していく。

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