立命館「社会起業家育成」で自腹10億円ファンドも 「小中高大院」5万人にSDGsや起業学ぶ機会提供
しかし、事業をスタートさせたものの、どこから手を付け始めればいいのかわからない。そんな模索の状況を打破しようとSSAPに参加し、総長ピッチチャレンジに挑んだというわけだ。内山氏は、その支援内容についてどう感じているのだろうか。

「SSAPを通じて社会起業家としてのマインドや、どうビジネスモデルを構築すべきかなど多くのアドバイスをいただいたことで模索の状況を打破できました。また、総長ピッチがオンラインで全国配信されたことで、さまざまな方面の方から協業などのお声がけをいただけたことが何より大きかったですね」
同社は昨年7月、「READYFOR」のクラウドファンディングを活用し、木の幹でお茶を作るプロジェクトの資金調達を実施、間もなく製品化する予定だ。今年1月からは天然木材100%のバスアイテム「おうちでヒノキ風呂」を、クラウドファンディングサイトの「Makuake」を通じて販売開始している。内山氏は今後についてこう語る。
「まだ駆け出しという状況ですが、現在、家庭用の酒樽や森林フレーバーの水たばこ、サウナのアロマ水などの開発を進めており、商品ラインナップを拡充していきます。日本の森林を維持していくためにも、間伐材をどう生かしていくかが重要で、新たな視点から森林需要を生み出し、林業の持続可能性を広げていきたい。将来的には林業に限らず社会に根差した事業をどんどん手がけ、さまざまな分野で社会的課題を解決できる人材になりたいと思っています」
日本の大学では珍しいワンストップ型の起業支援
RIMIXによって社会起業家の創出を加速させる立命館。今年6月にはオール立命館のスタートアップ起業支援を一元化すべく、その司令塔となる「起業・事業化推進室」を設置した。
「今までバラバラに実施していた研究シーズの事業化とRIMIXを相互補完していくため、推進室をつくりました。学内外のニーズのマッチング、起業や事業化のテーマの戦略的選定、ファンドの運用管理までを担っていく予定。投資した企業のサポートもしていきます。このようにワンストップの部門をつくって起業支援する形は、日本の大学では初めてかもしれません」と、徳田氏は話す。
すでに研究シーズ型のスタートアップ企業の数は、ここ数年で2.3倍と大きく伸長しており、これにRIMIXが加わったことで大きなシナジーが期待できそうだ。徳田氏は展望についてこう語る。
「立命館といえば京都という印象がありますが、キャンパスは大阪や滋賀、APUは大分にあります。それぞれは日頃、別々に動いていますが、起業という枠組みを通じて、学園全体の一体感を高めていきたいと考えています。立命館大学はSDGsにひも付いた『THEインパクトランキング2021』において日本の私学の中で最上位の評価を得ましたが、今後もSDGs達成に向けた取り組みを促進し、“起業といえば立命館”と言われるような存在になっていきたいと思っています」
(注記のない写真は立命館提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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