立命館「社会起業家育成」で自腹10億円ファンドも 「小中高大院」5万人にSDGsや起業学ぶ機会提供

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「厳しい実社会に出る前に学内でしっかり失敗できる場所があり、必要なときにはプロが支援してくれる。多くのプロフェッショナルの方々から多面的な教育の機会を得られることは大きい。さらに同じ志を持った人間が周囲にいて切磋琢磨できる環境が、挑戦する彼らには何よりも心強いのではと思います」

3つ目が、起業や社会貢献に向けた活動のサポートとして、10億円規模の「立命館ソーシャルインパクトファンド」を学内に設定していることだ。

「学内でファンドを自腹で立ち上げているケースは珍しいと思います。しかも投資基準は金銭的なものだけでなく、SDGsや地域貢献といった観点を重視し、社会起業家を応援する投資なので外部の方にもかなり驚かれます。私たちは急成長を目指すユニコーン型ではなく、事業承継型のスタートアップを含め、地域に根差した草の根的な活動から持続可能な社会に貢献するゼブラ型のスタートアップ企業の育成を目指しているのです」

すでにRIMIXから社会起業家が誕生

現在、RIMIXでは、「総長ピッチチャレンジ」を2019年度から開催し、新たな社会起業家の掘り起こしを進めている。ソニーの新規事業支援プログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」を立命館版にアレンジした支援を通じ、学生や生徒が自身のアイデアをブラッシュアップしてプレゼンテーションするコンテストだ。入賞者には国内外のオーダーメイド研修や起業に向けた各種サポートなど、各賞に応じた特典とフォローアップ支援もある。

ここから生まれた社会起業家の1人が、立命館アジア太平洋大学(APU)に在学しながら国内林業の再興を目指すkonoki代表取締役社長の内山浩輝氏だ。内山氏は20年3月から社会起業を志し活動をスタート。同年12月の総長ピッチチャレンジ2020に出場し、「SSAP賞」を受賞、今年4月に事業を株式会社化してkonokiを立ち上げた。

内山浩輝(うちやま・こうき)
konoki代表取締役社長。林業の課題解決をテーマに、社会起業を志し2020年3月に活動を開始。21年4月に同社設立
(写真:内山氏提供)

「祖父が事業家だったこともあり、子どもの頃から起業は身近で、起業家の生き方に憧れていました」と、内山氏は話す。大学2年生の頃に起業について真剣に考えるようになり、「APU起業部」の第1期生となった。これはAPU学長でライフネット生命創業者である出口治明氏が音頭を取って18年につくったもので、スタートアップ企業の経験者であるメンターに事業計画などの相談ができる実践型課外プログラムだ。

内山氏はある日、出口氏の紹介で三重県津市美杉町の林業家・三浦妃己郎氏(三浦林商代表、林業パートナー)と出会った。林業についてはまったくの門外漢だったが、三浦氏の話を聞くうちに林業の潜在的な可能性に気づかされ、その世界にだんだんとのめり込むようになったという。

そして、三浦氏とタッグを組み、従来の林業のスタイルに収まらない新しい木材の利用価値を生み出すことで、「儲からない、担い手がいない、管理されない森林の増加」という日本の林業が抱える課題解決と活性化を目指すことになった。

総長ピッチチャレンジ受賞時の内山氏(左)。konoki代表取締役社長の内山氏と、林業パートナーの三浦氏(右)
(写真右:内山氏提供)
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