日本が外国人観光客の受け入れに慎重なわけ さまざまな規制課され円安という千載一遇生かせず
世界で最も人気のある観光地の一つ、日本での外国人客の受け入れが2年超ぶりに始まった。だが、一日の入国者数を政府が2万人に引き上げた6月10日、羽田空港に熱狂的な観光客の姿は見られなかった。
新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きを受け、日本政府は5月にやや慎重ながら外国人観光客の受け入れ計画を公表した。マスクの着用や体温チェック、移動制限などさまざまな規則が課され、外国人からすると魅力が乏しいようだ。
40分の1に落ち込んだ消費額
英国やオーストラリア、ニュージーランドからの観光客のツアー企画を手掛けるウェンディー・ウー・ツアーズ広報担当者、アンディー・イースタム氏は「受け入れ再開となった10日の直前まで、どんな変更があるか分からなかった」と明かす。受け入れ再開を確信するまで、具体的な対応は何もできなかったという。実際、日本政府が外国人観光客受け入れのガイドラインを旅行業者に示したのは3日前の7日だった。
コロナ禍前、インバウンドに沸く日本には大量の外国人が押し寄せ、2019年の訪日外客数は過去最高を記録した。だが、厳しい水際対策が取られると状況は一変し、観光庁のデータによると、2021年に外国人観光客が日本で消費した金額はわずか1208億円と19年(4兆8135億円)の40分の1に落ち込んだ。
5月下旬、日本政府は外国人の受け入れ再開に先立ち、訪日観光実証事業を行った。日本人の添乗員が付き添い、現地のガイドが観光客らの動きを監視しながら、時折マスク着用を呼び掛けた。その結果を踏まえ作られた観光庁のガイドラインには、感染率が低いとされる98カ国・地域からの訪日観光客を受け入れ、ツアー企画会社が取るべき行動指針などが記された。
斉藤鉄夫国土交通相は10日の記者会見で、「訪日観光の再開に当たっては、受け入れ地域の人々の理解や安心感の醸成が必要」とした上で、「感染拡大の防止と社会経済活動のバランスを取りながら、観光事業の回復にしっかり取り組んでいく」と語った。