強制加入や前例踏襲の運営に疑問の声続々、退会増える「PTA連合」の行方 PTAを束ねる団体が存在意義を問われるワケ
子どもが所属するスポーツクラブやPTA活動に関わり、人望の厚さから、18年に他薦でPTA会長に就任した岡田氏。前任のPTA会長から「引き継ぎに5時間かかる」と膨大な資料を渡されたときは、呆然としたという。
「PTAは、自分たちで考え、自分たちでどうするかを決められる任意団体なのだから、これまで引き継がれてきたものを無理して続けていく必要はない」と、役員の声を聞きながら、運動会に訪れた来賓へのお茶出し廃止、地域の先輩方をもてなす会のスタイル改善など、ルールや習慣を少しずつ変えた。
また、新入生の保護者を中心に、
「PTAには、仕事はありません。活動があります。企業じゃないですよ」
「PTAには、目の前の子どもたちの命を守ることとお金の管理以外に失敗はありません」
「PTAは、生活の延長にあります。家族の暮らしを優先してください」
などと発信を続け、これまでのPTAを覆っていた義務感、強制感、前例踏襲感の払拭に努め、“空気”を変えた。PTAを学校や教育委員会の「下部機関」だと誤解している人が大量にいるからだ。
P連の役割は、“地域密着を機能させるために油を差す”こと
「単Pで、風通しのよい、参加しやすい風土をつくれば、質の高い意見や優れた意見が出始め、持続可能な組織となっていきます。核家族化、少子化が進む現代、地域の力が弱っていて、学校の先生も疲れています。単Pは、学校と地域を応援する組織であり続ける必要があるからこそ、P連は、単Pが横でつながり、各校がどのような運営でこの難局を乗り越えようとしているのか、そのアイデアを紹介し合う場をつくり、“地域密着を機能させるために油を差す”役割に特化すべき。慣例的な“充て職”などで、単Pの活動の邪魔をしてはいけないと思うのです」と、岡田氏は言う。
P連とは、何のためにあるのか。岡田氏は、単Pのリーダーとして抱いた問題意識を他校のブロック代表会長らと議論を重ねて、「次年度以降の世小P活動に関する提案事項覚書」としてまとめ、
・ 輪番制を廃止し単Pの保護者の物理的・精神的負担を軽減
・ P連も「任意団体」であることの認知の徹底化と、入会の「意思確認手続き」の明確化
・ 役員選考制度の見直し(ルールの明確化)
・ スポーツ大会や活動への「役員関与」の縮小(自主運営化)
などを提案。この提案が役員会に等閑に付されたため、志を共有する仲間とともに変革していくことの必要性を感じ、世小P会長選挙に推され立候補したが、1票差で落選した。
さらに、「連合には、“声を束ねる”という意味もあります。日Pなどといった『自称上部団体』の活動に目を向けると、全国大会を開催して“人員”を束ねてはいますが、声を束ね、国の文科政策に対して集約的提言をしているとは到底言えず、各政党に窓口もありません。つまり統括団体の役割を果たしていません。何のための『連合』なのか。目的があいまいな中で前例踏襲を続けても、名誉役職の供給とそのための形式的な運営だけが残り、地域に不幸が繰り返されるだけなのではないでしょうか」と言う。
三者三様の視点から見えてきた「P連」の役割とはーー。地域のP連は、単P同士が横でつながり、情報共有、課題共有しながら単Pや地域を元気にしていくこと、県P連や日Pといった上部団体は、その目的を改めて見直し、今の時代に合った運営方法を考慮する視座が求められているといえる。
(注記のない写真:NOV / PIXTA)
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