強制加入や前例踏襲の運営に疑問の声続々、退会増える「PTA連合」の行方 PTAを束ねる団体が存在意義を問われるワケ

「今年度は事業の簡素化、省力化をさらに加速させていく予定です。これまで連合会主催で運営してきた保護者のソフトボール、バドミントン、バレーボールのスポーツ大会は、参加校による自主運営に移行、子どもたちから募集し選考、表彰まですべての運営を担ってきた『川柳コンクール』は、地域の方を含めた希望者から協力を募る形で行います。
加盟校は減少傾向にあるものの、単Pの厳しい状況を打開できる“相談先”としてP連を利用してもらえるよう、発信を強化していきたいですね。せっかくP連に携わってもらうなら、負担が少ない前提で、関わった単Pの会長や本部役員が単純に楽しむことができる事業やメリットのある事業を展開し、そのノウハウや情報を単Pに持ち帰ってもらって、自校での活動に生かしてもらいたいと考えています」
地域のP連には上部団体が存在する。それが「日P」こと公益社団法人日本PTA全国協議会だ。日Pは、都道府県や政令指定都市の組織で構成、その下に市町村や学校単位の組織が連なり、活動規模人員は約800万人いる。
PTA活動の意義などの広報、教育分野などの調査・研究、課題を国に提言するなどを活動内容に掲げているが、実際にどんなことを行っているのか不透明な部分も多く、毎年各地域が持ち回りで担う「全国大会」については、その存在意義を疑問視する声も聞かれる。
「八王子市立小学校PTA連合会は、上部組織である東京都小学校PTA協議会(都小P)には加盟していませんので、日Pともつながっていません。単Pにいちばん近しい存在である、市区町村のP連が下支えするミニマムな組織として、有益な活動をすべきであると考えています」(櫻井氏)
P連は、単Pを支えるための組織
「P連は、単Pを支えるための組織。単Pにとって役立つ組織でないと意味がありません。今最も求められているのは、単Pの活動のスリム化や適正化を後押しし、保護者が安心して参加できる組織となるよう、P連としての方針の作成や、オンラインなどシンプルな形で単P同士の情報共有、課題共有ができる仕組みづくりだと思います」と言うのは、21年度に京都市PTA連絡協議会会長を務めた大森勢津氏だ。

2021年京都市PTA連絡協議会会長、20〜21年京都市小学校PTA連絡協議会会長、19年より、小学校PTA会長。2人の子どもの母親
(写真:本人提供)
京都市には幼稚園、小学校、中学校、高等学校、総合支援学校の5つで構成されるPTA連絡協議会=P連がある。
これらの学校・園を束ねるのが、京都市PTA連絡協議会=市P連だ。京都市では、夜間中学や定時制高校など、PTAを組織していない学校を除く全市立学校(総数252)が市P連に属している。
大森氏は市内の公立小学校で19年からPTA会長を務め、今年で4年目を迎えるが、20〜21年度は小P連の会長も務めた。21年は市P連、小P連、単Pの3つの会長を兼任したことになる。
「正直しんどかったですが、自校のPTA会長として、委員さんの数を減らしたり、やりたい人やできる人が手を挙げてできる体制へと改革するうえで、P連にどうあってほしいか、という当事者の視点をつねに持つことができました。単Pとしては、P連関連の負担は減らしてほしい、単Pだけで改革するのは難しいので、方針を示してほしい、情報が欲しい。それをかなえることが、市内のすべての単Pの底上げにつながる、という信念を持ってP連の活動に取り組みました」
コロナ禍のため、ICTを用いて、会員のニーズに応じた仕組みづくりに力を入れた。ハード面の整備に始まり、Zoomなどのオンラインツールを利用して会場とのハイブリッドでの会議や、「ブレイクアウトルーム」に分かれての小グループでの情報交換会を行った。
研修会は、動画をYouTubeで配信し、期間内であれば、いつでも視聴可能にした。「PTAしんぶん」には、先進的なPTA活動の事例を掲載したり、市P連のホームページをリニューアルし、Zoomの使い方が簡単にわかる動画を掲載するなどオンラインに慣れない保護者に配慮した。FacebookやTwitterなどSNSによる情報発信なども積極的に行った。
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