輸入車販売ヤナセが絶版ベンツ再生を手がける訳 純正部品が手に入らない輸入車もサポートする

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窒素シールドプラスチック溶接機による溶接を実演している様子(筆者撮影)
窒素シールドプラスチック溶接機による溶接を実演している様子(筆者撮影)

一番の特徴は、溶接時にロッドが燃焼しないこと。空気を高温にして溶接ロッドを溶接する従来の技法では、空気中に含まれる酸素(約20%)が燃焼し、樹脂部品の溶接部が硬くなりすぎてしまう。当然バンパーには、強度がある程度必要だが、硬くなりすぎると走行中の振動などで割れてしまうなど、耐久性が担保できない。窒素シールドプラスチック溶接は、加熱した窒素のみを吹きかけることで、溶接ロッドを燃焼させず、溶接部に適度な弾力性を持たせることができるという技術だ。

ポリバンス社の日本総代理店ティークラフトの担当者によれば、窒素シールドプラスチック溶接機は、バンパーだけでなくヘッドライトタブ、ウォッシャーボトル、オーバーフローボトル、ファンシュラウド、フェンダーライナー、ヒューズボックス、バッテリーボックスなど、さまざまな樹脂製部品の修復が可能だという。また、ボンドなどの接着材を使う場合とは違い、硬化剤なども不要。溶接部は冷めれば固まるため、作業時間の短縮にも繫がるというメリットもある。

ベンツオーナーを納得させる経験と技術力

窒素シールドプラスチック溶接機で修復されたメルセデス・ベンツのバンパー(筆者撮影)
窒素シールドプラスチック溶接機で修復されたメルセデス・ベンツのバンパー(筆者撮影)

クラシックカーは、何十年も乗り続けてきたとか、親から受け継いだ車両、若い頃に憧れていたモデルなど、愛好家たちの熱い想いが込められているだけに、レストアにも高い技術力が要求される。とくに長年の愛好家も多く、輸入クラシックカーの王者ともいわれるメルセデス・ベンツの場合は、ユーザーの目も肥えており、外観などの美しい仕上がりも可能な限り必須だといえるだろう。

「乗って楽しめるクラシックカー」というコンセプトを持つヤナセクラシックカーセンターは、エンジンや動力系など旧車を実際に走らせるための技術はもちろん、内外装のレストアに関するこだわりもかなり強いといえる。樹脂製バンパーの修復だけを例にみても、輸入車販売の老舗ヤナセの名を冠するに足りるだけの高い品質を追求していることがうかがえる。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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