公共政策を検討する際には、その効果だけでなく、実施にかかる費用も踏まえた費用対効果、すなわち「コスパ」を考慮することが望ましい。その際には、個人や社会の満足度と関係する指標と結び付けられて論じられることが理想的だ。例えば、イノベーション促進政策は、特許出願数を増やすことが最終目標ではなく、GDP(国内総生産)のような指標と関連されるべきだろう。
近年の経済学においては、ある政策が生み出す効果を評価する際、その政策以外の諸要因からの「雑音」をできるだけ除去することに意を用いる。データを用いながら、政策効果が純粋に何%なのか、といった具体的な数値を求め議論するのだ。これを支える方法論は「因果推論」と呼ばれる。
しかし、ともすれば、特許出願数のような、中間的な目標でしかない指標が「効果」として取り上げられてしまったり、あるいは、政策効果を生み出すための費用が忘れられ、効果の側面だけに注目が集まったりするような状況も生まれていると思われる。
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