世界的な法人税率低下、「租税競争」をどう見るか 昨年の歴史的合意で「最低税率15%」の国際課税

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法人税率はビジネス環境の重要な指標であり、マクロ経済や財政の視点からも大事なテーマだ(撮影:梅谷秀司)

法人税率が下がっている。世界の各地域で、平均法人税率は一貫して低下。個々の国についてもおおむね同様で、先進国・開発途上国間の違いがないことも知られている。

法人税率はビジネス環境の重要な指標であり、マクロ経済や財政の視点からも大事なテーマだ。本稿では、マクロ経済学の一分野である経済成長論の立場から、現代的な法人課税の論点をまとめ、昨年発表された国際課税の歴史的合意について解説する。

税率と企業の立地戦略

法人税率引き下げの背景には、世界経済のトレンドであるビジネスの国際化と知識産業の発展がある。近年、激しい国際競争の中で、企業は国境を越える柔軟な立地選択をしている。その重要な決定要因となるのが立地する国の法人税率だ。これは実証研究でも確認されている。もちろん、企業利潤に課せられる法人税率は低ければ低いほど企業にとって魅力的だ。

また、企業が立地することによる人・お金・情報の集積はスピルオーバー効果(個人や企業の意図を超えた相互作用による波及効果)を持ち、知識の高度化を一層進め、経済成長をもたらす。スピルオーバー効果は間接的なものに思えるが、マクロ的影響は大きい。そのため、世界各地で成長を求め法人税率が引き下げられる。

企業はよりよいビジネス環境を求めて複数の立地候補を検討するので、各国は企業誘致で競合する。他国が法人税率を引き下げるなら、自国も引き下げて相対的に高い魅力を確保しないと企業に選ばれない。この「租税競争」と呼ばれる状況は、いわゆる「底辺への競争(a race to the bottom)」につながるとされる。

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