夫婦間では日常的にさまざまな取引が行われる。「夫に時計を買ってあげたら、かばんを買ってくれた」というのを取引と呼ぶのは違和感があるとしても、「今日の晩ご飯代は私が出すから明日はあなたね」とか「折半して住宅を購入しよう」などは取引という言葉のイメージに近いだろう。
「僕が夕飯を作るから君は掃除と洗濯をやって」は時間の取引、「夜は私が子どもに本の読み聞かせをして寝かせるから、昼間はあなたが遊園地に連れていって」は時間とお金の取引だ。
夫婦が「共通の喜び」のために互いの資金や時間を投入することは頻繁に行われる。この行動については、多くの国で理論モデルが構築され、その妥当性がデータにより確認されてきた。共通の喜びは、調理や清掃など家事によって得られる満足感や世帯員全員の健康、育児による子どもの教育成果など多岐にわたる。子どもを持つこと自体も含まれるだろう。
これら家計生産行動の分析がなぜ重要か。それは、夫婦間取引が家計生産物の質や量を変え、結果的に世帯の経済厚生や満足水準を変えるからだ。夫婦間取引による生産行動の解明は、世帯厚生を高める方策を議論する手立てとなる。
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