笹川平和財団の超大型「海外奨学金」に全国から熱視線集まる、納得のワケ 「年間1000万円超」支給、広がる海外留学への道
日本でも留学生を対象とした奨学金は、同財団の取り組みをはじめ、充実する方向に向かいつつある。茶野氏も留学をきっかけとして、日本ではできない学びを得てほしいと言う。
「英語でコミュニケーションをするときに、相手がどんなバックグラウンドを持ち、どう話せば、相手は理解してくれるのか。そこまで考えが及ぶようになるためには相応の時間と環境が必要です。多様性のある環境で過ごすことは本当に貴重なことです。若いときから日本と異なる環境に身を置くことは、将来必ず有益なものをもたらしてくれるでしょう」
世界の国の中で日本は大国の1つに数えられる。日本人が思っているほど世界での存在感は小さくはない。ただ、国際社会で活躍する日本人はそれほど多くない。茶野氏は笹川平和財団スカラシップを通して留学生同士のネットワークを拡大していくことで、国際社会で日本人が活躍できるような土台をつくっていきたいと語る。
「日本国内に優れた人がたくさんいることも大事ですが、もし世界で何か問題が起こったときに、日本の状況を理解しながら、効果的に動ける日本人が国際社会にいるということは日本という国にとっても非常に有益なことです。今回のスカラシップを通して、日本の若者を元気にするとともに、日本という国に貢献したいと思っています」

笹川平和財団常務理事。一橋大学卒業後、国際交流基金を経て、1991年より笹川平和財団にて太平洋島嶼国に関わる事業に従事。財団業務に携わり高度な専門性の必要性を痛感し、米ペンシルべニア大学に留学、95年、米国における政策立案過程を学び行政学修士を取得。その後米ニューヨークのフォード財団にて同財団の事業戦略とその成功事例を研究、同成果を基にフォード財団のプログラムオフィサー養成事業に携わる。2003年に帰国後は笹川平和財団総務部長を経て常務理事として時代の要請に応じて日米事業、中東交流事業・安全保障研究プログラム等の立ち上げ・運営に関わり、22年度より奨学金事業を開始。なお米国に同行した子ども2名はいずれも米国の大学に留学した
(写真:今井康一)
(文:國貞文隆、注記のない写真:Prostock-Studio/iStock/Getty Images Plus)
東洋経済education × ICT編集部
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら