笹川平和財団の超大型「海外奨学金」に全国から熱視線集まる、納得のワケ 「年間1000万円超」支給、広がる海外留学への道

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「日本の将来を担う若者が、視野を広げ国際感覚を養うために、留学は必要な手段の1つです。これまで経済的な理由、あるいは留学に関する適切な情報にアクセスできないなどの理由から、留学を将来の選択肢とすることができなかった若者たちにもチャンスを与えたい。とくに留学のチャンスに関しては、地域格差があると感じています。地方からでも留学して才能の花を開いてほしい。留学したい若者を、全国から積極的に発掘していきたいと考えているのです」

同財団では今後、全国の高校や国際交流団体などを訪問し、奨学金の説明会を開催していく意向だ。すでにいくつかの地域で高校生や教職員らに対し説明会を実施しており、「私たちの地域から将来のリーダーを育てるためにも、ぜひ奨学金を利用して留学を促進したい」「奨学金を受けられるような学生を育てたい」といった声が上がっているという。

高校生に向けた、大型の海外奨学金といえば、ソフトバンク創業者の孫正義氏やユニクロ創業者の柳井正氏のスカラシップが有名だが、笹川平和財団とそれらとの違いはどこにあるのか。

「私たちとしては、地方の優秀な人材の掘り起こしのほか、留学生同士のネットワーク、卒業してからのネットワークも大事にしていきたいと考えております。将来的には留学に関心を持っている高校生と留学中の奨学生、卒業生とのつながりをつくっていきたい。私たちの奨学金はお金だけを提供するわけではありません。また、お金だけ欲しい学生を求めてもいないのです。海外の大学入試は日本の受験とは異なり、テストの成績だけでなく、学生の考え方や将来のビジョンを評価しながら、自分の大学に合う学生を選んでいくというプロセスを踏みます。私たちも同様にそうしたプロセスを重視しながら、奨学金を提供していきたいと考えています」

同財団では奨学金給付の対象を英米の有力大学の留学生に絞っている。米国ではハーバード大学など研究型大学30校、アマースト大学など少人数教育のリベラルアーツカレッジ15校、英国ではオックスフォード大学、ケンブリッジ大学ほか、LSE、エディンバラ大学など8校を対象とする。

「英国と米国の大学には世界中から優秀な学生が集まってきます。若いときから優秀な人材と出会える機会は、やはり英国と米国の大学のほうが圧倒的に多い。私たちは留学生の支援を充実させたいという思いもあり、まずは2カ国に専念します。ただ今後、奨学金事業の経験をしっかりと私たちが重ねる中で、メドがつけばほかの国の大学にも対象を広げていきたいと考えています」

奨学金の選択肢が多い米国、拡充しつつある日本

そう話す茶野氏は、日本の大学を卒業後、米国の大学院に学び、世界的に著名なフォード財団でプロジェクトディレクターとして勤務した経験を持つ。米国では財団の活動も盛んで、奨学金の種類も豊富だが、日米にはどんな違いがあるのだろうか。

「米国では日本と異なり、企業の財団だけでなく、企業創業者など富豪の資産をもとにした個人財団が活発に活動しています。フォード財団も個人財団であり、プライベートな財団であるがゆえに活動の自由度も高く、意思決定も速い。しかも、米国では財団などが提供する奨学金の種類も多く、学生たちはインターンやリサーチトリップ(研究旅行)など、さまざまな活動をするに当たり、費用の一部を奨学金としてサポートを受けることもあります。いろいろな種類の奨学金がある便利さが米国にはあるのです」

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