寝台列車「ななつ星」、ライバルは豪華客船 人気は衰え知らず、平均競争倍率は22倍
トワイライトとカシオペアは豪華列車と銘打ってはいるものの、そもそもは目的地への移動手段である。一方で「ななつ星」は、博多を起点に九州を周遊してまた博多に戻ってくるという点で、移動手段ではなく、純粋に旅を楽しむ列車だ。その点で、「ななつ星」のライバルは従来の豪華列車ではない。
価格体系で参考になるのは、鉄道ではなく、豪華客船の旅だ。JR九州は「ななつ星」を日本初の「クルーズトレイン」と呼ぶ。これは“豪華客船の旅”の鉄道版を意味する。
JR東、JR西も虎視眈々
豪華客船のツアーは10~30日かけて世界を周遊するものが多いが、短期間の国内周遊型のツアーもある。たとえば、日本を代表する豪華客船「飛鳥Ⅱ」を利用する「阿波踊り・高松花火クルーズ」は4泊5日で21万6000~103万8000円だ。1泊当たりの最高価格は、「ななつ星」とほぼ同じである。つまり、価格面で見れば、豪華客船の旅の主要顧客であるシニア層、富裕層への訴求を狙っているといえるのだ。
クルーズトレインという新たな市場を他社が見逃すはずはなく、2017年春にJR東日本とJR西日本が贅を尽くした豪華寝台列車を投入する。両社ともイメージ画像の発表にとどまり、車両は存在せず、詳しい行程も決まっていない。
だが、サービスの質や価格体系は、「ななつ星」に対抗したものになるはずだ。JR3社の間で熾烈な競争となるのは間違いない。
(「週刊東洋経済」2015年1月31日号<26日発売>の「価格を読む」を転載)
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