日本で体験できる海外大学生活「レジデンシャルカレッジ」とは何か? HLABが仕掛ける「世界の一流大学生」集う学生寮

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リベラル・アーツ教育の本質を学べる寮生活

そして、このHLABのもう1つの柱となっているのが「レジデンシャルカレッジ」(居住型教育機関)だ。こちらは、まさに「学寮(カレッジ)生活を中心としたリベラルアーツ教育」を実践するもので、寝食を共にしながら、異なる経験を持ち違う分野を学ぶ仲間が、互いとの対話の中でリベラルアーツの学びを深めていくものになる。

中目黒にオープンしていた「THE HOUSE by HLAB」

HLABでは、2016年にプロトタイプとして居住者約10名の「THE HOUSE by HLAB」を東京の中目黒にオープン。次いで、20年12月にHLABのレジデンシャルカレッジの拠点として「SHIMOKITA COLLEGE」を開業した。収容人員は130人以上。ここでは高校生や大学生だけでなく、若手社会人も参加し、寝食を共にしながら互いに学び合い、新たな教育的価値をもたらす学生寮として位置づけている。

2020年12月にオープンした「SHIMOKITA COLLEGE」

「日本では学部をまたいで授業を取ることがリベラルアーツ教育と思われがちですが、米国では学部は所属するところではなく、あくまで通って勉強するところであり、学部の垣根を越えてコミュニティーカレッジ(学寮)に所属し、学寮で学び合うことがリベラルアーツ教育の本質なのです。その意味で、私たちの取り組みは、東京を大きなキャンパスと見立て、都内の大学、学部に通う多様な大学生、あるいは海外の大学生たちが、高校生たちや若手社会人と下北沢のカレッジを拠点として学び合うことを目的としているのです」

「SHIMOKITA COLLEGE」の開校は21年4月、コロナ禍のさなかに行われたが、学生たちはどのような状況にあったのだろうか。

「今、ウェルビーイングが注目されていますが、学びにおいても、よく学ぶためには、よくあらねばならないのが基本です。コロナ禍ではオンライン授業を受ける多くの学生が孤独を強いられることになりましたが、カレッジの中ではつねに一緒に学ぶ仲間がいて、夜でも自分の話を聞いてくれる仲間がいます。それは学生たちにとっても、大きなプラスになったといえるでしょう。オンライン授業も大事ですが、大学だけでなく、カレッジという学寮で寝食を共にしながらオフラインで互いに学び合うことは、学生たちの日常や将来にも大きなメリットをもたらしてくれるのです」

日本の教育で「多様性」を身に付けるには?

そう語る小林さんは日本の学校教育についてどのように評価しているのだろうか。

「新たに導入された新学習指導要領を見ても、非常にすばらしいと感じています。お金がなければよい教育を受けにくい米国と比べれば、日本の教育は平準化されているうえ、受験というフェアな機会を与えられ、努力した人が報われるという仕組みは評価されてしかるべきだと思います。ただ、多様性という観点から見れば、例えば日本の歴史の教科書は標準化するために近現代史を深く教えない傾向にあります。しかし、米国の学校教育では、今を生きる糧をどう身に付けさせるかという点を重視し、歴史のある事象に対してさまざまな視点から考えることを基本としています。必ずしも正解はないのですが、複数の視点から物事を判断する技法を学ぶわけです。これから不確実性の高い社会を生き抜いていくためにも、日本の教育でも学びを進めるうえで重要な視点だと感じています」

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