日本で体験できる海外大学生活「レジデンシャルカレッジ」とは何か? HLABが仕掛ける「世界の一流大学生」集う学生寮

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コロナ禍によって大学ではオンライン授業が日常的になった。しかし、その一方で孤独感を強める学生も少なくない。そうした中、教育事業を手がけるHLAB(エイチラボ)が「レジデンシャルカレッジ」という取り組みを2021年からスタートさせている。HLABの創立者である小林亮介氏はハーバード大学出身。今回の取り組みはハーバードで経験した「学寮(カレッジ)生活を中心としたリベラルアーツ教育」を日本で実践する形になるという。そこにはどのような狙いがあるのか。HLAB代表の小林亮介さんに話を聞いた。

身近なロールモデルに出合える環境づくり

小林亮介さんは31歳。現在は、米スタンフォード大学のビジネススクールと教育大学院に在籍しながら、日本で自ら創設した教育事業のHLAB(エイチラボ)を経営するほか、政財界の国際コミュニティーである三極委員会などのフェローとしても活躍している。そんな小林さんは1991年東京生まれ。桐朋高等学校在籍時に米オレゴン州への1年間の交換留学を経て、ハーバード大学に入学。その後、大学に在学しながら2011年にHLABを創設した。

「そもそもHLABをつくったのは、多様性が生かされていないという日本の教育の問題点を感じたことがきっかけです。構想を練り始めたのは、18歳の頃です。海外で感じていた多様性は、世代の多様性でした。日本では、高校から大学に入るというキャリアステップにおいて、身近な情報源であるべき2~3歳年上の先輩との接点があまりにも少ないのが現状です。しかし、自分のキャリアや人生の選択肢を考えるとき、将来何がしたいのかという発想、それを実現するための情報、そして、その目標に向かって最後までやり遂げるためのモチベーションが必要ですが、それらを得るには年齢や境遇が近いロールモデルが非常に参考になります。高校生たちがこれから人生のキャリアを進めるうえで参考になる人物と会えるよう、高校生と大学生との接点の場をつくりたいと考えたのです」

HLABのモデルとなったのはハーバード大学の「学寮(カレッジ)生活を中心としたリベラルアーツ教育」だ。ハーバードでは世界中から優秀な学生が集まり、学寮で寝食を共にしながら、勉学に励む。学寮生活を通じて、世代が近い者同士が互いに違う世界や価値観を見せ合い、学び合う仕組みは、実家暮らしや一人暮らしをしながら通学する日本の大学とは大きな違いがある。生活を通して多様性に触れる中にこそ、学びがあり、将来の自分の可能性も広げることができるのだ。

そうした教育環境を目指し、小林さんがHLABでまず始めたのが、高校生と大学生が参加するサマースクールだった。海外の大学生と日本人の大学生がメンターとなり、高校生と交流するセミナーのほか、最前線で活躍する方の講演を聞くフォーラムなど、多彩なプログラムで2011年からスタートし、今年で12年目を迎える。

「毎年、国内外の大学から160人、全国の高校から240人ほどの学生が参加する形態で続けています。幸いなことに、日本のソフトパワーは海外でも強く、日本に関心の高い優秀な大学生が多数参加しており、サマースクールに参加していただいた方には、大学教授や起業家になった学生も少なくありません。当初参加した高校生を見ても、そのうちの3~4割が海外の大学に進学しています。身近な先輩の海外での大学生活を知り、自分にとって遠い話ではないと感じた結果、留学したくなるという流れがあるのです。実際、今ハーバードやスタンフォードの大学院で学んでいる学生の半分くらいは、何らかの形でHLABに関係したことがある、と言ってもいいくらいです」

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