ロシアのプーチン政権はウクライナ問題に関し、岸田文雄首相が自主外交を放棄し、バイデン米大統領の政策に完全に追従しているとみている。したがって、米ロ関係の悪化が、日ロ関係の悪化に直結する。
バイデン氏は3月26日、訪問先のポーランドの首都ワルシャワで演説を行った。〈ウクライナに侵攻したロシアへの対抗について、民主主義と専制主義との戦いと位置づけ、「数日や数カ月では勝てない長い戦いになる」と各国に結束を呼びかけた。プーチン大統領を独裁者だと痛烈に批判し、「この男が権力の座にとどまり続けてはいけない」と演説を結んだ。/演説は1千人近い聴衆が集まったワルシャワ王宮で開かれ、バイデン氏の欧州訪問を締めくくるものだった。バイデン氏は「帝国の再建を決意している独裁者であっても、人々の自由に対する愛を消し去ることは決してできない。ウクライナはロシアに絶対に敗北しない」と強調した。/演説最終盤にバイデン氏は、プーチン氏について「権力の座にとどまり続けてはいけない」と訴えた。米政権がプーチン政権の体制転換を目指しているとも受け取られかねず、発言は波紋を呼んだ。米政府高官は直後に声明を発表し、「プーチン氏のロシア国内での権力や体制転換について話したわけではない」と軌道修正を図った。複数の米メディアによると、この発言は事前に用意されていた演説原稿にはなかったという〉(3月28日「朝日新聞デジタル」)。
バイデン氏の発言を額面どおりに受け止めれば、米国がプーチン政権の打倒を企てているということになる。米政府高官は軌道修正を試み、プーチン氏のロシア国内での権力や体制転換について話したわけではないと釈明したが、プーチン氏を含むロシアの政治エリートは、米国が本気でロシアの体制転換を考えていると受け止めている。米国に追従する日本も、プーチン政権打倒に向けた米国との共同戦線に加わるのではないかと、クレムリン(ロシア大統領府)は猜疑心を強めている。
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