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今後の北方領土交渉で考えられる2つの可能性 日ソ共同宣言と別条約か、2島返還で平和条約

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根室・納沙布岬から見た歯舞群島。安倍晋三首相は、なし崩し的に従来の立場を変更することで、ロシアからの譲歩を得ようとしている(北海道新聞社/時事通信フォト)

9月2日、ロシア極東のウラジオストクで行われた日ロ首脳会談について、ロシアのマスメディアはそれほど大きく扱っていない。クレムリン(ロシア大統領府)が、北方領土でロシアが譲歩するという憶測が生じないように細心の配慮をしてメディア誘導を行っているからだ。

しかし、プーチン大統領の反応を見るならば、ロシアが北方領土問題で日本に譲歩を示す用意があることは明白だ。

〈ロシアのプーチン大統領は3日、ウラジオストクで開催中の「東方経済フォーラム」の討論会に安倍晋三首相らと出席し、「日ロで見方に違いはあるが、問題を解決する必要があると考えているのは同じだ」と、領土問題の解決に意欲を示した。/プーチン氏は安倍首相を「シンゾウ」と何回も名前で呼び、「親切で、信頼できる関係にある」と評価した。ただ「問題解決には高い水準の信頼が必要だ」とした上で、「首相が提案した(エネルギー開発や医療支援など)日ロ協力の8項目が唯一の正しい道だ」と、経済協力の着実な実行を日本側に促した。また、「歴史上、どちらも損をしたと感じない解決策の例は多くないが、我々ならつくれると願っている」と呼びかけた。/これに対して安倍首相は演説で、8項目の具体的な内容について説明。経済協力の進み具合を確認するため、日ロ首脳会談を年1回、定期的にウラジオストクで開くことをプーチン氏に呼びかけた。プーチン氏はうなずき、拍手で応じた。また安倍首相は日ロ平和条約の締結に向けて「私たちの世代が勇気を持って責任を果たしていこう」と訴えた。〉(9月3日「朝日新聞デジタル」)

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