コロナ禍で、自治体などの困窮者相談窓口に来た人の困り事を見ると、62%が「住まいの不安定・家賃の支払い」を挙げていた。離職や休業のために家賃を支払えず、住まいが不安定になった人が急増した影響であろう。
これまで日本の住宅政策は持ち家取得に重点が置かれ、借家に住む人への支援は脆弱であった。それでも、近年、新たな居住支援策が導入されている。2017年に始まった「新たな住宅セーフティネット制度」はその1つである。
この制度は、高齢者、低所得者、障害者、子育て世帯などの「住宅確保要配慮者(以下、要配慮者)」を支援するものだ。要配慮者は、孤独死、家賃滞納、トラブルなどのリスクがあるとして、大家から入居を拒まれる傾向がある。一方、全国で空き家・空き室は増加している。そこで、リスクのために貸したくても貸せない大家と、要配慮者をマッチングする制度である。
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