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株式市場は本当に短期志向なのか 問題の多くは情報や認識のギャップに起因

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柳川範之 東京大学大学院教授(やながわ・のりゆき)1963年生まれ。慶応大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

「株式市場の評価は短期的ではないのか」という議論が最近、増えてきた。経済学的にも重要な論点であるが、多少混乱して議論されている面もあると思われるので、基本的なポイントを整理してみたい。

まず、極めて単純な例から考えよう。現時点で100のコストの投資を行うと、3年後に利益が200増えることが確実だとしよう。つまり、3年後に倍になって帰ってくる投資だ。この投資には経営者も投資家も誰も反対しないだろう。

仮に今の時点で現金化したい株主がいたとしても問題ない。なぜなら、将来それだけ高いリターンが得られることがわかっていれば、3年後までその株式を持っていてもよいと考える投資家に高い価格で株式を売却できるからだ。

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