有料会員限定

株式市場は本当に短期志向なのか 問題の多くは情報や認識のギャップに起因

✎ 1〜 ✎ 353 ✎ 354 ✎ 355 ✎ 最新
拡大
縮小
柳川範之 東京大学大学院教授(やながわ・のりゆき)1963年生まれ。慶応大学通信教育課程卒業。93年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。東京大学助教授などを経て2011年から現職。主著に『法と企業行動の経済分析』『独学という道もある』など。(撮影:今井康一)

「株式市場の評価は短期的ではないのか」という議論が最近、増えてきた。経済学的にも重要な論点であるが、多少混乱して議論されている面もあると思われるので、基本的なポイントを整理してみたい。

まず、極めて単純な例から考えよう。現時点で100のコストの投資を行うと、3年後に利益が200増えることが確実だとしよう。つまり、3年後に倍になって帰ってくる投資だ。この投資には経営者も投資家も誰も反対しないだろう。

仮に今の時点で現金化したい株主がいたとしても問題ない。なぜなら、将来それだけ高いリターンが得られることがわかっていれば、3年後までその株式を持っていてもよいと考える投資家に高い価格で株式を売却できるからだ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内