
大正大学地域構想研究所教授 小峰隆夫(こみね・たかお)1947年生まれ。東京大学卒業。経済企画庁経済研究所長、物価局長、調査局長、国土交通省国土計画局長などを経て、2020年4月から現職。日本経済研究センター理事・研究顧問も務める。著書に『人口負荷社会』『日本経済論の罪と罰』『政権交代の経済学』など。(撮影:尾形文繁)
岸田文雄首相は、『文藝春秋』2月号に「私が目指す『新しい資本主義』のグランドデザイン」を寄稿した。政策の責任者が自身の政策を一般向けにわかりやすく示すことはたいへん重要であり、その意味で、私は高く評価する。
私のみるところ、岸田首相の政策論には2種類のロジックが入り交じっている。1つは「行き過ぎた新自由主義が格差を生んだので、これを分配政策で是正する」というロジックAであり、もう1つは「成長の成果が投資や消費にうまく結び付いていないので、分配政策でこれを是正する」というロジックBである。本稿ではロジックAについて吟味してみたい。
ロジックAについて首相は、「市場や競争に任せればすべてがうまくいくという考えが新自由主義であり、その考え方は世界経済の成長の原動力となったが、市場に依存しすぎたことで格差や貧困が拡大した」と指摘している。これに私は違和感を覚える。
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