アップルに続きグーグルも、個人追跡制限の波紋 アプリ広告のターゲティングや効果測定に打撃

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SNSやニュースなど、スマホアプリにおける「個人追跡」は規制厳格化の一途。広告収入で成り立っている無料アプリの運営者には打撃がありそうだ。

アップルのiOSではダウンロードしたアプリを初めて起動した際、アプリの利用データなどのトラッキング(追跡)を許可するかを確認するメッセージが表示される(記者撮影)

スマートフォンユーザーのアプリの利用情報を外部企業が把握して、ネット広告のターゲティングや効果測定に用いることを制限する動きが広がっている。プライバシー保護を訴えてきたアメリカのスマホ大手アップルに続き、この2月、グーグルも重い腰を上げた。

ターゲティングや効果測定が難しくなれば、SNSやニュースなど、広告収入で成り立っている無料アプリの運営者は減収となるリスクがあるほか、広告配信ネットワークを運営する企業にも逆風となる。広告主にとっても、費用対効果のよい出稿先をより細かく見極める必要が出てくる。

ただアップルとグーグルの間には制限の考え方に大きな違いもみられる。今後の広告ビジネスは政府による個人情報保護の規制だけでなく、大手プラットフォーマーの動きにも左右されることになりそうだ。

後れていたアプリ領域にも規制が

スマホには端末ごとに、ID番号のような識別情報が割り振られている。広告配信業者らはこの番号に紐付いたアプリの利用データを集め、ユーザーのプロフィールを自動的に作成、広告配信に活用してきた。

アプリの広告をクリックしたユーザーがそのアプリをインストールしたり、アプリ内のイベントに参加したりしたかの効果測定にも、この番号が使われている。ウェブブラウザにおける「クッキー」と同様の役割を担っている。

このID番号は、アップルのiPhone向けOS(基本ソフト)の「iOS」では「IDFA(IDentifier For Advertising)」、グーグルのOS「アンドロイド」では「広告ID」と呼ばれる。

プライバシー保護の機運の高まりを受け、業界ではクッキーの規制が先行して始まっている。グーグルは「クローム」において、サードパーティークッキー(広告配信業者が活用するクッキー)の利用を2023年から停止すると発表済み。こうした動きがようやくアプリの領域でも広がってきた格好だ。

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