「改革」なき「新しい資本主義」 大テーマを掲げた割には内容が小粒

✎ 1〜 ✎ 147 ✎ 148 ✎ 149 ✎ 最新
拡大
縮小

岸田文雄首相の掲げる「新しい資本主義」の評判がエコノミストの間で芳しくない。大テーマを掲げた割にはその内容が小粒で、新味に欠けるからだ。

首相が年頭所感で説明する「新しい資本主義」はこうだ。成長については「デジタル化」「気候変動」「経済安全保障」「イノベーション・科学技術」などの社会課題をエンジンとする。分配については、格差に向き合い、「企業による賃上げ」や「人的投資の強化」を行う。これを次の成長につなげ、「成長と分配の好循環」を生むことで、経済の持続可能性を追求する──。

これでは、巷間(こうかん)いわれるようにアベノミクスと変わらない。

成長のエンジンとは産業戦略にすぎない。政府がテーマを並べて税制優遇や補助金で企業の投資を誘導する、従来型の手法だ。これまでも繰り返されてきたが、イノベーションの活性化にはつながらなかった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内