金融所得課税はどう改革すべきか 「1億円の壁」問題が長年指摘されてきた

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2021年末に決まった与党の22年度税制改正大綱。岸田文雄首相が自民党総裁選挙時に掲げた金融所得課税の強化は見送られたが、22年夏の参議院選挙を乗り切れば、23年度大綱で決着させるとの見方が強まっている。同課税強化に反対する金融業界では、NISA(少額投資非課税制度)拡充を求める動きも出てきた。

所得税の分野では「1億円の壁」と呼ばれる問題が長年指摘されてきた。高所得者層ほど所得に占める金融所得(利子、配当、譲渡益)の割合が高いことを主因として、高所得者層の所得税負担率が低くなる問題だ。国税庁の20年のデータによると、合計所得約1億円(税負担率27.9%)までは所得増とともに税負担率は上昇していくが、それ以降は低下し、合計所得約10億円なら22.9%、同約100億円では16.1%と逆累進になっている。

給与などほかの所得は累進課税で合計4000万円以上では最高税率55%が適用されるが、金融所得は一律20%の分離課税となっているためだ。累進性を期待される所得税の機能が果たされていない。

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