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共同富裕政策を本格化する中国
── 「改革開放」を弱めて経済下押しリスクも
1978年の改革開放以降、「先富論」を唱え、市場メカニズムを取り入れて高成長を続けた中国。2021年になって「共同富裕」政策を前面に打ち出し、IT産業や不動産業への規制を強めている。本リポートは、その背景を整理し、今後の経済への影響を考察する。
中国は08年に1人当たり所得が中所得(3000ドル程度)に到達。以降は経済成長により貧困層が減少し、所得格差を示す指標のジニ係数も低下したが、10年代半ばから再上昇した。ITなど新興産業の成長の一方、経済全体の成長は減速。住宅価格上昇から資産格差も拡大した。
21年7月の党創立100周年大会で「小康(ゆとりある)社会」の達成を宣言した習近平政権は、次の目標、「共同富裕」へと本格的に転換した。
本リポートは、中国経済政策の根幹は引き続き「改革開放」にあるとみるが、共同富裕に沿った規制が、経済自由化・市場化の「改革」を弱め、外資誘致や自由貿易など「開放」を制約する懸念を指摘。文化大革命ほどの悪影響はないものの、一連の規制が技術革新や経済活力をそぐという見方もあり、当局の想定以上に経済成長が下押しされるリスクに注意を促している。
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