独占ルポ!中国「ビットコイン採掘場」閉鎖の激震 仮想通貨マイニング“最後の砦"が崩壊した日

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突然の政府禁止令により、幻のように消えてしまった中国秘境の「ビットコイン採掘場」。その現場に潜入取材を試みた。

新疆の“ビットコイン鉱山”の内部(撮影:財新記者 丁剛 )
中国の奥地にある秘境では、日夜ビットコインのマイニング(ブロックチェーンに取引記録を残すための膨大な量の計算作業、「採掘」とも言われる)が行われてきた。
が、これを全面的に禁止する政府方針により、一夜にしてビットコインの採掘場がすべて閉鎖されてしまった。
当日の夜、現地ではいったい何が起きていたのか。東洋経済が提携する中国の調査報道メディア「財新」の独占潜入レポートを前編、後編でお届けする。

葉朗(イエ・ラン)は時折、腕時計を見つめていた。2021年6月19日の夜9時になると彼は眉をひそめ、手はわずかに震えていた。そしてWeChatの業務連絡用チャット内で次のように指示を出した。

「シャットダウンしよう」

葉朗はぶつぶつと独り言を言っていた。「終わった。全部終わった」。声を詰まらせており、明らかに悔しさをにじませていた。

その前日の6月18日、四川省の国家発展改革委員会とエネルギー局は仮想通貨のマイニングプロジェクトを停止する旨の文書を発表した。この文書は、各市と州の電力会社が6月20日までに26のビットコイン採掘プロジェクトの審査、整理、業務停止を行うよう要求している。

葉朗が所長を務める四川省のアバ・チベット族チャン族自治州黒水県のビットコイン採掘場は、26あるプロジェクトで最初に名前が挙げられていた。

6月19日、恐れと不安を感じていた葉朗は電力会社から送られた文書を受け取った。その文書は同日夜10時までに採掘機(マイニング専用マシン)の負荷圧力をゼロにするよう要求しており、さらに夜12時には電力会社が電源の供給を停止するとしていた。そこで葉朗は電源のシャットダウン時刻を夜9時に設定した。

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