JR貨物「2030年の完全民営化」に向けた収益シナリオ 真貝康一社長が明かす「総合物流企業化」の狙い

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2030年までに完全民営化と上場を目指すJR貨物。上場に向けたハードルは低くない。真貝康一社長に上場に向けた課題を聞いた。

「鉄道を基軸に総合物流企業を目指す」と語るJR貨物の真貝康一社長(撮影:今井康一)

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JRグループ7社のうち、残る未上場会社はJR北海道とJR四国、日本貨物鉄道(JR貨物)の3社となった。2016年のJR九州に続き、次の上場はJR貨物だとみられているが、上場への道程は平坦なものではない。
上場の前提条件となる業績の安定化やJR旅客各社から借りている線路使用料の問題など、上場前に乗り越えるべきハードルは高い。これらの課題にどのように向き合い、上場までの道筋を描くのか。JR貨物の真貝康一社長に聞いた。

自然災害があっても経常利益140億円を稼ぐ

――JR貨物が1月に発表した「長期ビジョン」では、基本方針として「2030年の完全民営化」を掲げています。

2021年3月期はぎりぎり黒字を確保したとはいえ、新型コロナの影響をかなり受けた。完全民営化するには収益力の向上とともに、安定性も備えなければならない。

2017年3月期と2018年3月期に連結経常利益100億円台を達成した。2024年3月期に連結経常利益140億円以上を目指しているが、いまの段階では、収益が安定的とはまだ言えない。

2018年に西日本豪雨が発生し、山陽線が100日間不通になり、2019年3月期の連結経常利益は45億円に落ち込んだ。今後、このレベルの自然災害が起きても140億円以上の経常利益を確保できる体質に改善できれば、ここが(完全民営化に踏み切る)目安になる。

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