対象に選ばれた8割以上が追徴課税となる現実。なぜ税務調査は精度が高いのか。
今まで30~40件ほど相続税申告の税務調査に立ち会ってきたが、その経験から、税務調査は世の中の人が考えている以上に厳しいと断言できる。
例年、相続税の税務調査は約1万2000件で、税務調査ほど厳しくない簡易な接触が約1万件。年間の相続税申告は約10万件なので、4~5件に1件の割合で調査されることになる。しかも、調査対象に選ばれてしまうと、80%以上の人が追徴課税になっているのだ(2019年度実績)。
実際に追徴課税になれば、過少申告加算税(5~15%)、無申告加算税(10~20%)、重加算税(35~40%)などのペナルティーが科されてしまい、罰則は小さくない。申告期限から追徴税を納めるまでの利息も加わってくる。
調査官の調査能力が優れているのはもちろんだが、ここで威力を発揮しているのが、国税庁の「国税総合管理(KSK)システム」という巨大なデータベースだ。
そこには、全国民の毎年の確定申告(会社員の場合は給与の源泉徴収票)や、過去の相続遺産の金額などの情報が集約されている。それらの情報を基に「この人はこれくらいの財産を持っているだろう」という理論値が計算される。KSKシステムがはじき出した理論値と、実際に申告した遺産額に大きな乖離のある人が、税務調査の対象に選ばれるわけである。
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