配偶者居住権をはじめ、妻の貢献が認められるようになった。
高齢化社会を象徴するように、日本人の平均寿命は年々延び、夫の死後も妻は10年近く生きるまでになっている。長年連れ添った妻のため、2019年度の相続税改正では、配偶者の権利を守る制度も目立った。ここでは3つの制度を取り上げてみたい。
被相続人(夫)が死亡した際、それまで住んでいた自宅に住み続けたい、と望む配偶者(妻)は多い。これを法的に保護しようと設けられたのが「配偶者居住権」だ。
配偶者居住権には、配偶者短期居住権と配偶者居住権があるが、改正で注目を集めているのは後者。配偶者が被相続人の保有不動産に居住していた場合、被相続人の死亡後も、原則として配偶者本人が亡くなるまで居住できる。
改正前は、配偶者が自宅に住むには、不動産を相続するしかなかった。だが改正後は、不動産を「所有権」と「配偶者居住権」に分け、不動産そのものは子どもが相続し、配偶者自身は自宅に住み続けられるようになった。
この配偶者居住権を取得できるのは、戸籍にある法律上の配偶者のみで、事実婚(内縁の夫や妻)には認められない。対象になる建物は配偶者が相続時に生活拠点として住んでいた建物。別荘は対象外だし、所有建物を人に貸し夫婦で賃貸物件に居住していた場合、所有建物には設定できない。
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