NEC新社長がもくろむ「5G世界戦略」の全貌 野心的な5年計画のカギは「5G」と「DX」

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森田新社長が将来の可能性に期待を込める通信事業。高速通信規格「5G」の通信インフラを国内だけでなく海外にも展開する狙いとは。

NECの森田隆之新社長は4月の就任直後に今後5年間の中期経営計画を発表。「5G」関連ビジネスや企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)需要の獲得が中核だ(撮影:尾形文繁)

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「NECは普通の会社に戻った」――。今年4月に就任したNECの森田隆之社長は会社の現状をそう評する。2020年度の当期純利益は1496億円と過去最高を達成。赤字を垂れ流しリストラを繰り返した過去の姿は、そこにはない。
NTTに電話交換機を納め、かつて富士通とともに「電電ファミリー」と呼ばれたNEC。その後に総合電機メーカーとして成長したが、この10年でパソコンや半導体、携帯電話などノンコア(非中核)と判断した事業を次々と切り離し、巨大ITベンダーへと姿を変えた。
構造改革にメドをつけたNECは、再び成長軌道に乗ろうとしている。5月には今後5年の経営戦略を定めた新たな中期経営計画を発表。通信ビジネスで高い成長率を目指しつつ、柱のITサービスでは大きな構造転換を目指すと宣言した。
NECは具体的にどのような成長戦略を描いているのか。森田新社長に聞いた。

参入障壁はますます下がる

――これまで世界の通信機器市場はスウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキア、中国ファーウェイという3社の寡占状態が長く続いていました。

「オープンRAN(O-RAN)」の広がりは大きい。通信機器の市場は競争がものすごく少なくなってきており、通信キャリア各社はそれを心配していた。とくにファーウェイは価格攻勢が強く、既存の設備を新しいものに無償で交換する提案もしており、われわれは競争の場に立てなかった。だが安全保障の議論の中で、国によっては(ファーウェイなど)中国の製品が選択肢になりにくくなった。

通信インフラの上から下まで特定のベンダーがブラックボックス化するのは気持ち悪いと思う人もいる。そこでO-RANの動きが広がり、機器同士のインターフェース(接続規格)の標準化が進んだ。アンテナの背後にある無線制御装置は(これまでは専用機だったが、汎用サーバーで動く)ソフトウェア化が進んでいる。参入障壁はますます下がる。

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