2期連続の赤字に沈んでいた日本製鉄とJFEホールディングス。需要の急回復から業績改善が顕著だ。この追い風はどこまで続くのか。
苦境にあえいでいた鉄鋼大手の業績が急回復している。
5月7日の決算発表の席上、日本製鉄の橋本英二社長は「トンネルは抜けつつある」と収益体質の改善に自信を示した。
国内最大手の日本製鉄は、2021年度の純利益を2400億円と予想する。国内2位のJFEホールディングスは1300億円を計画しており、予想通りならば両社とも文字通りのV字回復となる。
2019年度はアメリカと中国の摩擦激化による世界経済の失速で鉄鋼需要が減退、一部製鉄所の採算が悪化したことで1000億円単位の減損計上を余儀なくされた。一方、2020年度は固定費の軽減から黒字化を期していた。
しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大が巻き起こった。自動車など主要顧客が大幅減産を行い、日鉄、JFEとも鉄を作る高炉の一時休止に追い込まれた。2020年度の4~6月期は生産数量が前年同期比で約3割減となった。
巨大な装置産業である鉄鋼業でここまで落ち込むと利益の出しようがない。2期連続で1000億円単位の大赤字になるかと思われた。
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